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2017.3.21

介護職の虐待、過去最多408件 通報は約5割増 意識の高まりも影響 厚労省調査

 


介護の現場で働く職員による高齢者への虐待が増え続けている。厚生労働省が21日に公表した調査の結果によると、2015年度の1年間に発覚したのは408件。300件だった前年度から36.0%増え、これまでで最も多くなった。個々の資質や働く環境、処遇などが影響しているとみられる。社会の意識が以前より高まったことで、埋もれていたケースが表に出てくるようになったという側面も大きい。
 
平成27年度 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果
 
この調査は、高齢者虐待防止法にもとづいて2007年度から毎年行われている。全国の都道府県、市町村からの報告を厚労省が集計したものだ。

 

最新の2015年度の結果をみると、職員による虐待が疑われるとして自治体へ寄せられた相談・通報は1640件。前年度から46.4%増加して過去最多となった。このうち、実際に虐待があったと判断されたのは408件。内訳は多い順で、「身体的虐待(61.4%)」、「心理的虐待(27.6%)」、「介護等放棄(12.9%)」となっている。利用者が亡くなった事例も1件あったという。
 

《 厚労省の発表をもとに作成 》

 
虐待を受けていたのは、状態が重かったり認知症を抱えていたりする高齢者が多い。79.9%が要介護3以上。認知症の日常生活自立度「II」以上が75.4%だ。寝たきりの人も少なくなかった。
 
加害者の52.8%は男性。介護従事者の男性の比率(20.4%)を考慮すると多い。虐待に至った要因(複数回答)では、「教育・知識・介護技術等に関する問題」が65.6%で最多。以下、「ストレスや感情コントロールの問題」が26.9%、「性格や資質の問題」が10.1%、「人員不足や人員配置の問題、多忙さ」が7.7%と続いていた。
 

 親族などの虐待は1.6万件

 
調査ではこのほか、日頃から高齢者の世話をしている親族や同居人による虐待の実態も把握している。2015年度に寄せられた相談・通報は2万6688件。前年度から3.5%増え、こちらも過去最多を更新した。実際に虐待があったと判断されたのは、前年度より1.5%多い1万5976件。3年連続の増加となっている。
 
虐待の要因で最も多かったのは、25.0%の「介護疲れ・介護ストレス」。内訳ではやはり、「身体的虐待(66.6%)」や「心理的虐待(41.1%)」が目立っていた。被害者との関係では、40.3%の「息子」が最多だ。介護保険サービスを利用している場合、虐待の程度が低くとどまる傾向がみられた。相談・通報を行ったのは、ケアマネジャーが29.6%で最も多い。
 
こうした結果を受けた厚労省は、自治体に対策の強化を要請する方針だ。通報を受ける窓口の周知や効果的な対応例の共有、地域におけるネットワークの構築、関係者向けの研修会の開催などを促していく。22日にも通知を出す予定。老健局の担当者は、「高齢者への虐待はあってはならないこと。未然の防止や早期発見につながるよう、引き続き取り組みを推進していきたい」と話している。


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