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Report

2017.3.22

「要介護度の軽減だけが成果じゃない」 ケアマネ学会服部氏、状態改善偏重に苦言

 


《 講演する服部氏 》

「要介護度を軽くするためだけのものに制度を矮小化してはいけない」。
 
日本ケアマネジメント学会の服部万里子副理事長がくぎを刺した。東京ビッグサイトで17日まで開催されていた展示会「CareTEX2017」で講演。自立支援をこれまで以上に強調するようになった政府の姿勢が、行き過ぎた改革につながらないか懸念しているという。
 
政府が今後のビジョンを披露したのは昨年11月だ。安倍晋三首相が「未来投資会議」で、「これからは自立支援に軸足を置く」と言明。「これまでは高齢者ができないことのお世話が中心だった。本人が望む限り、介護が要らない状態までの回復をできる限り目指していく。スピード感を持ってパラダイムシフトを起こす」などと語り、2020年をめどに具現化するよう関係閣僚に指示した。
 
厚生労働省はすでに、こうした指示に沿った取り組みを進めている。例えば今国会に提出している法案。要介護度を維持・改善させているケースが多いなど、結果を出した市町村を財政面で優遇するインセンティブの仕組みを設ける方針だ。新年度の予算案にも施策を盛り込んでいる。ケアマネジメントの手法を標準化したいとして、新たなモデル事業を展開していくための経費を計上。自立支援の観点でより有効なプランを普及させる狙いだ。このほか、2018年度の介護報酬改定でもさらなる手を打つ構えをみせている。
 

「圧力を感じれば利用者は苦しむ」

 
「心身の状態や生きていく価値は人それぞれ」。服部氏は講演で、個々の生活歴や課題、環境、希望などを受け止めつつ生活全体を支えていく視点も同様に大事だと改めて説明。「要介護度が軽くなるのはもちろん良いことだが、それだけが成果じゃない。ケアマネジメントや制度を矮小化してはいけない」と苦言を呈した。「自立支援ばかりが目的になると、できない人は落第生ということになってしまう。あなたが努力しないからダメなんだ、もっと頑張らないといけないんだ、という圧力を感じれば利用者は苦しむ」と念を押した。
 
このほか、いわゆる「混合介護」をより柔軟に提供できるように規制を緩和する構想にも言及。「ヘルパーに家政婦の仕事をさせるもの。サービスを買えるのはお金持ちだけ」と問題を提起した。「介護が必要になった時に使えるのが介護保険。今の人手不足を勘案すると、お金の無い人にサービスが行き届かなくなる恐れがある」と慎重な立場をとった。


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