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まとめ

2017.5.29

いつから何がどう変わるのか!? 介護保険制度の見直し、改正法が国会で成立

 


今後の制度の見直しに向けた改正介護保険関連法が26日の国会で成立した。何がどう変わるのか? いつから実施されるのか? 改めてポイントをまとめた。
 

 3割の自己負担を導入

 
現役並みに所得がある高齢者に限り、自己負担が3割へ引き上げられる。来年の8月から。具体的な対象の範囲はこれから政令で決められる。実際に負担が増えるのはおよそ12万人、利用者全体の3%程度の見込み。
 
厚生労働省はこれまでのところ、合計所得金額(*)が220万円以上かつ、「年金収入 + その他の合計所得金額」が単身世帯で340万円以上、夫婦世帯で463万円以上の利用者を対象にする考えを示している。単身で年金収入のみの場合は、344万円以上に相当する。
 
* 合計所得金額 = 収入から計算上必要な控除などを行ったあとの額
 
現在の自己負担の上限は2割。この対象は、合計所得金額が160万円以上かつ、「年金収入 + その他の合計所得金額」が単身世帯で280万円以上、夫婦世帯で346万円以上の利用者。単身で年金収入のみの場合は、280万円以上に相当する。
 

 自己負担の上限額の引き上げ

 
介護の出費が生活を圧迫し過ぎないように作られた「高額介護サービス費」の制度が見直される。利用者の所得などに応じて自己負担にひと月あたりの上限額を定め、それを上回った分を後から払い戻してくれる仕組みだ。
 
実施は今年8月で、所得区分の「一般(第4段階)」が対象。住民税が課税されており、年収が夫婦で520万円に満たない世帯などが該当する。1人暮らしの場合は383万円未満。現行で月3万7200円の上限額を、7200円引き上げて4万4400円とする。
 
厚労省はこのほか、向こう3年間に限った「激変緩和措置」として年間の上限額も新設する。所得区分「一般」のうち、自己負担の割合が1割の世帯のみが対象だ。金額は44万6400円。現行のひと月あたりの上限額(3万7200円)の12ヵ月分に相当する。「年間の負担総額が今の負担最大額を超えないように配慮した」。狙いをそう説明している。
 

「総報酬割」の導入

 
40歳から64歳の現役世代が支払う保険料について、個々の金額を算出する際の手法が改められる。
 
現役世代の保険料は、それぞれが加入している医療保険の保険者が徴収・納付する仕組み。各保険者が納付する保険料の総額は、その加入者の人数に応じて決めることになっている。大勢いるところは多く、そうでないところは少なく、といった具合だ。この手法は「加入者割」、あるいは「あたま割」などと呼ばれている。
 
今回の法改正では、今の「加入者割」を段階的に「総報酬割」へと切り替えていくことになった。新たな「総報酬割」は、各保険者が納付する保険料の総額を加入者の所得水準に応じて決めるもの。これにより、収入の高い大企業のサラリーマンや公務員などはより多くの負担を求められる。一方で、相対的に収入の少ない中小企業のサラリーマンなどは負担が軽くなり、国の歳出も抑制できるという。
 
厚労省は今年8月から切り替えを始め、2020年度には全面的な移行にこぎ着けるスケジュールを示している。
 

「共生型サービス」の創設

 
高齢者でも障害者でも利用できる「共生型サービス」の新設は目玉の1つ。訪問、通所、ショートステイが対象で、2018年度から導入される。具体的な運営基準や報酬は、来年度の改定に向けた議論を通じて決められる。
 
現行のルールをみると、介護保険サービスを提供する事業所として指定を受けているところに対して、市町村は独自の判断で障害福祉サービスの給付を行える。ただし、その逆は認められていない。厚労省は今後、介護保険サービスと障害福祉サービスのどちらかで指定を受けている事業所であれば、もう一方を提供する許可が得やすくなるルールを作る考え。
 

「地域共生社会」の理念を明記

 
介護や障害、子育て、生活困窮といった分野の垣根を越えた総合的な支援を展開する「地域共生社会」の理念を書き足す。
 
「地域共生社会」は、厚労省が福祉の青写真として新たに打ち出した概念。「地域包括ケアシステム」より広い意味を持ち、政策のターゲットを高齢者だけに限定していないことが特徴だ。縦割りの制度に個々のケースを当てはめ、困難を抱えている人を分けて扱うのをやめる ー 。あらゆる関係者が協働し、ワンストップの効率的な仕組みによって包摂していく ー 。そうした構想が軸になっている。ニーズの多様化・複雑化が進む一方で、現場を支える人材の確保がさらに難しくなってきていることが、このコンセプトに光が当たった背景だ。
 
今回の関連法には、種類を問わず様々な相談を横断的に受けられる体制を整えたり、現行では任意とされている「地域福祉計画」を策定したりすることを、市町村の努力義務とする規定も盛り込まれた。

《 賛成163 反対73で成立(26日)》

「介護医療院」の創設

 
状態の重い高齢者が入院している介護療養病床の転換先として、看取りを含めた医療サービスと住まいの機能を併せ持つ「介護医療院」が新設される。いわゆる「社会的入院」を解消して医療費の抑制につなげることが狙いだ。介護療養病床は今年度いっぱいで廃止されることが決まっている。
 
今後の焦点は具体的な人員・設備の基準と報酬。来年度の改定をめぐる議論の重要なテーマの1つだ。厚労省は今後、2018年4月から6年間をかけて介護療養病床の転換を済ませる考え。
 

 有料老人ホームの監督を強化

 
再三の忠告にも耳を貸さずに悪質な運営を続ける有料老人ホームに対して、来年度から都道府県が事業の停止を命令できるようにする。必要な届け出をしていない「無届けハウス」も対象だ。今は業務改善命令までしか認めていない。
 
このほか、前払い金の保全措置を義務付ける施設の対象を拡大する。現行で除外されている2006年3月31日以前に設置された施設も含める。この措置には、法律の施行から3年後に適用するという経過期間が設けられた。
 

 小規模デイの参入規制

 
サービスの整備がバランス良く進むよう、事業所を指定するプロセスで保険者の関与を強化することになった。
 
目玉は右肩上がりに増えているデイサービスの参入規制。利用定員が18人以下の小規模な事業所が対象となる。市町村が指定・監督の権限を持つ「地域密着型サービス」に分類されるタイプだ。小規模多機能型居宅介護の普及を進めるためなど、市町村が必要だと判断すれば事業所の指定を拒否できるようにする。実施は2018年度の予定。
 
厚労省はこのほか、都道府県が居宅サービスの指定を行う際に市町村が慎重な対応を要請できるルールも新設する。市町村の意見を聞く都道府県には、事業者に何らかの条件をつける権限を付与する方針だ。
 

 保険者機能の強化・地域マネジメントの推進

 
全ての市町村が保険者機能を発揮し、高齢者の自立の支援や重度化の防止につながる効果的な対策を展開するよう、
 
○ データにもとづく課題の分析
 
○ 課題の解消に向けた取り組みや目標の事業計画への記載
 
○ 客観的な指標を用いた実績の評価
 
○ 実績の評価に応じた財政的なインセンティブの付与
 
などを制度化する。導入は2018年度から。こうしたプロセスで都道府県が市町村を支援する規定も書き込まれた。
 
実績の評価に用いる客観的な指標については、「要介護状態の維持・改善の度合い」や「地域ケア会議の開催状況」などを組み合わせる案が検討されている。厚労省は今後の議論で詳細を詰めていく考え。
 

 地域包括支援センターの強化

 
国が定める評価指標にもとづいて、地域包括支援センターが自らの取り組みを評価すること、市町村がセンターの評価を行うことが義務化される。市町村は評価の結果を適切な人員体制の確保につなげていく。厚労省はこのほか、地域ケア会議の内容の具体化・明確化や土日祝日の開所、地域全体を視野に入れたケアマネジメント支援の展開などにも力を入れるとしている。
 

 認知症施策の推進

 
いわゆる「新オレンジプラン」の基本的な考え方を法律上にも位置付ける。「新オレンジプラン」は、2015年1月に関係12省庁が共同で策定した国家戦略。今回の法改正では、
 
○ 認知症への理解を深めるための知識の普及や啓発
 
○ 家族など介護者への支援の推進
 
○ 本人や家族の意向の尊重
 
などが新たに規定される。加えて、複数の専門職による「初期集中支援チーム」や権利擁護といった取り組みへの都道府県によるサポートが努力義務となる。

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