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まとめ

2017.6.13

政府、「科学的介護」を推進へ エビデンス重視 AIやロボの活用も 成長戦略決定

 


《 会合後に会見する石原経済再生担当相 》

政府は9日、今年の成長戦略と規制改革実施計画を閣議決定した。今後の高齢化やニーズの拡大を念頭に、双方で介護を重要な改革ターゲットと位置付けている。
 
未来投資戦略2017
 
規制改革実施計画
 
成長戦略では、ビッグデータや人工知能(AI)、ロボット、IoTといった新たな技術を最大限に活用し、この分野にイノベーションを起こす意思を明確にした。より有効な自立支援や生産性の向上を実現する新たなシステムを作り上げ、2025年までに国民生活の中に定着させる方針を打ち出している。
 
新たなシステムの中核を担うのが、利用者の状態やサービスに関する膨大な情報を蓄積・分析するためのデータベースだ。来年度中に構築を開始し、2020年度には本格運用にこぎ着けたいとした。そうして生み出したエビデンスを活かし、効果が科学的に裏付けられた介護を展開していくと説明。「どのような状態に対してどのような支援をすれば自立につながるか明らかにする」と宣言した。医療の分野でも、ひとりひとりに合った最適な健康管理や診療を推進していくために、情報連携ネットワークの整備とデータの収集を急ぐという。
 
介護報酬にも言及した。「次の改定で効果のある自立支援を評価する」と明記。加えて、「データ分析で効果が裏付けられたサービスは2021年度以降の改定で評価する」とも記載し、中期的な方向性まで提示している。業務の効率化に役立てられるロボットやセンサーの普及を早めるため、「次の改定で制度上の対応を行う」とも書き込んだ。
 
成長戦略にはこのほか、ケアプランの作成を支援するAIの開発を後押ししたり、行政が求める書類を半減したりすることも盛り込まれている。
 
一方の規制改革実施計画では、保険が適用されるサービスとそうでないサービスを組み合わせる「混合介護」のルールを明確にする観点から、来年度上期までに通知を出すよう厚生労働省に指示した。訪問介護や通所介護で保険内・外を一体的に提供する構想については、「検討する」「課題を整理する」などと結論を先送りしている。
 
さらに、介護サービス情報公表システムを分かりやすく改善する必要があるとして、来年度中に対策を打つよう要請。小規模多機能型居宅介護のルールを見直し、登録者以外にも訪問サービスを提供できるようにすべきとも注文している。
 

 未来投資戦略2017 介護関連要旨

 
○ 技術革新を最大限活用し、個人・患者本位で、最適な健康管理と診療、自立支援に軸足を置いた介護など、新しい健康・医療・介護システムを構築する。オールジャパンでのデータ利活用基盤を構築し、個人の状態に合った効果の高いサービス提供による、健康寿命の延伸と高齢者の自立した生活を実現する。
 
○ AI、ロボットなども組み合わせて現場の生産性を上げながら、高齢化・人口減少下でも質が高く、効率的な健康・ 医療・介護のサービス提供を可能とするモデルを構築する。
 
○ 費用対効果も勘案しつつ、基盤構築・制度改革・民間投資促進を一体的に進め、2020年には新しいシステムを構築し、国民が安心できる医療・介護が2025年に国民生活に定着していることを目指す。他国よりも早く課題に直面している日本で課題解決モデルを早期に作り上げ、グローバル市場の獲得と国際貢献を目指す。
 
○ 遠隔診療について、例えばオンライン診察を組み合わせた生活習慣病患者への効果的な指導・管理や、血圧・血糖の遠隔モニタリングを活用した早期の重症化予防など、対面診療と遠隔診療を適切に組み合わせることにより効果的・効率的な医療の提供に資するものについては、次期診療報酬改定で評価を行う。更に有効性・安全性などに関する知見を集積し、2020年度以降の改定でも反映させていく。
 
○ 次期介護報酬改定において、効果のある自立支援について評価を行う。どのような状態に対してどのような支援をすれば自立につながるか明らかにし、自立支援などの効果が科学的に裏付けられた介護を実現するため、必要なデータを収集・分析するためのデータベースを構築する。本年度中にケアの分類法などのデータ収集様式を作成し、来年度中にデータベースの構築を開始し、2019年度に試行運用を行い、2020年度の本格運用開始を目指す。
 
○ データ分析による科学的な効果が裏付けられた介護サービスについては、2021年度以降の介護報酬改定で評価するとともに、そうしたサービスが受けられる事業所を厚生労働省のウェブサイトなどで公表し、国民に対する「見える化」を進める。
 
○ 介護現場でのロボット・センサーなどの活用について、効果実証を着実に進め、その結果を踏まえて、利用者の生活の質の維持・向上と介護者の負担軽減に資するものについて、次期介護報酬改定の際に、介護報酬や人員・設備基準の見直しなどの制度上の対応を行う。
 
○ ロボット介護機器の開発重点分野について再検証を行い、本年夏までに戦略的な開発の方向性を取りまとめ、来年度以降の新たな開発支援対象に反映させる。
 
○ 介護職員の負担軽減のため、行政が求める帳票などの文書量の半減に向けて取り組むとともに、介護記録のICT化について普及を促す取り組みを強化する。AIを活用したケアプランの作成支援についても、実用化に向けた課題の整理などの取り組みを支援する。
 
○ 高齢になっても自分らしく生きることのできる「生涯現役社会」を実現するために、医療・介護関係者や大学、民間事業者、地方公共団体などの多様な主体の連携のもと、高齢者の居場所や役割、仕事を創出し、要介護状態になることを予防し、進行を抑制する。例えば、「仕事付き高齢者向け住宅(仮称)」などについて実証事業を実施し、認知症や要介護状態の予防・進行抑制に向けて、医学的・科学的に効果が認められるモデルケースの構築を進める。
 

 規制改革実施計画 介護関連要旨

 
○ 介護サービス情報公表システムにおける情報項目について、介護事業者を選択する基準となる情報を調査・研究した上で、その結果を踏まえ、利用者・家族向け情報と専門職(ケアマネジャーなど)向け情報に再編することの適否などを検討し、介護事業者選択に資する情報を分かりやすく表示する。利用者の主体的なサービス選択に資するよう、介護サービス情報公表システムに、各種サービスを組み合わせて利用する場合の総費用の簡易な試算の機能を追加することなどを検討し、結論を得る。
 
○ 第3者評価機関が第3者評価を行う場合、介護事業者が他の監査・評価などで提出した資料と同様のものを使うよう都道府県を通じて促すなど介護事業者への負担を軽減することを検討し、結論を得る。契約締結時における介護事業者からの重要事項説明として、第3者評価の受審状況などの説明を義務化する。
 
○ 介護保険サービスと保険外サービスの柔軟な組合せが適切に行われるようにするため、下記aからcについての検討の結論を踏まえ、地方自治体や介護事業者にとって分かりやすくなるよう、一覧性や明確性を持たせた通知(技術的助言)を発出し、周知を図る。
a. 訪問介護における、両サービスの組合せに係る現行のルールの整理(両サービスの連続的な提供に係るルールの明確化を含む)
b. 通所介護における、両サービスの柔軟な組合せに係るルールの整備
c. 利用者の自費で介護保険と同等のサービスを提供する場合の価格規制の明確化
 
○ 特定の介護職員による介護サービスを受けるための指名料や、繁忙期・繁忙時間帯に介護サービスを受けるための時間指定料として利用者の自費負担による上乗せ料金を徴収することについて、利用者保護などの多くの課題や論点の整理を行う。
 
○ 第7期介護保険事業計画の策定に当たって、サービスの見込量の推計における的確なニーズの把握などについて、改めて地方自治体に周知し、国としてもこれを支援するとともに、地方自治体が特定施設などのサービス量をどのように見込んだかについて、調査して結果を公表する。
 
○ 地方自治体が独自に実施する介護事業者の選定のための公募について、各地方自治体において公平性・透明性を確保するため、公募の手続や介護事業者選定に関する留意点を明確化し、地方自治体に周知する。
 
○ 定期巡回・随時対応型訪問介護看護における日中のオペレーターと随時訪問サービスを行う訪問介護員の兼務や、小規模多機能型居宅介護における登録者以外の者に対する訪問サービスの提供を可能にすることの適否について、来年度の介護報酬改定の議論の際に検討し、結論を得る。
 
○ 介護事業者や保険者などの事務負担の軽減を図るとともに、利用者・家族がサービスを主体的に選択できる状態を実現するため、利用者にとって必要なサービスが提供されるべきことに配慮しつつ、介護報酬体系の簡明化に向けた議論を行い、結論を得る。

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