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2017.12.1

都内の特養、7割強が「入所は介護度優先」 結城教授「報酬・加算を見直すべき」

 


《 調査結果の報告会 29日 》

日本の「終の棲家」として介護サービスの中でも知名度が高い特別養護老人ホーム。2015年度から原則として重度者のみを受け入れるルールに変わったが、国は要介護2以下でも必要性が高ければ入所させるよう指導している。
 
現実はどうなのか? 全国規模の詳しい調査は行われていない。ただ首都の状況は分かる。東京都の高齢者福祉施設協議会が29日、都内の施設の実情を探った結果を明らかにしたからだ。
 
それによると、全体の73.2%が「入所の際は要介護度を優先させている」と回答。「要介護度に関係なく状況次第で入所させる」は21.6%にとどまっていた。要介護1の高齢者を全く受け入れていない施設は41.4%。要介護2の入所者が0人の施設も12.5%あった。困窮や認知症などで在宅生活を続けるのが適切とは言えなくても、要介護度が低いために門前払いされる高齢者もいる可能性が高い。
 

 調査概要
都内の全ての特養475施設が対象。82.3%の391施設から回答を得たという。実施期間は今年6月から7月。回答者の74.9%が生活相談員。14.4%の施設長が2番目に多くなっている。

 
背景には各施設の台所事情があるとみられる。特養は前回の改定で介護報酬を大幅にカットされた。経営の厳しさが一気に増し、対価が低い軽度者を受け入れる余力は急激に落ちている。
 
インセンティブの影響も大きいようだ。厚生労働省は前回の報酬減とセットで、要介護4と5の割合が70%以上だと取得できる「日常生活継続支援加算」の単価を引き上げた。今回の調査結果によると、都内ではこの加算を算定している施設が82.2%を占めている。東社協の関係者からは、「これを取らないと経営できない」「要介護4、5の高齢者の取り合いになっている」といった声が聞こえてくる。
 

「SWにも問題がある」

 
アドバイザーとして調査に関わった淑徳大学総合福祉学部の結城康博教授は、「入所者に優先順位をつける際は本来、個々の心身の状態や置かれている環境などを総合的に勘案しないといけない。福祉の視点に基づく判断が徹底されるべき」と主張。「国は現場に要介護度ばかりを重視させている。大切なソーシャルワークの機能を歪めており完全な失策だ。報酬や加算のあり方を見直すべきではないか」と話している。
 
加えて、「施設の経営も無視できないだけに難しいとは思うが、現場のソーシャルワーカーにも問題があると言わざるを得ない」と指摘。「要介護1、2の待機者がいたら、上司と調整しつつ本当に優先順位の高い方が入れるように尽くしてもらいたい。その努力をしないなら、社会福祉法人のSWとしての使命は全うできないのではないか」としている。

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