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2017.11.1

地域区分、納得してる!? 東京で見直しを求める声 署名活動も

 


《 署名を集める協議会の「東京ケアリーダーズ」》

23区など大都市圏の人件費や物価の高さが、介護報酬に的確に反映されていないのではないか −− 。
 
都内の特養やデイサービスなどを会員として組織する「東京都高齢者福祉施設協議会」が、そう問題を提起している。介護職員の処遇改善を妨げるボトルネックになっているとして、「地域区分」のあり方を再考するよう求める署名活動を開始した。厚生労働省も見直しの検討を進めており、次の介護報酬改定をめぐる論点の1つとなっている。
 

「物価の高さも考慮に入れて」

 
介護報酬の1単位の単価は10円。ただし全国一律ではなく、市町村ごとに差がつけられている。それぞれの人件費の違いを調整して公平さを保つためだ。地方では10円のところが多いが、東京23区や大阪市、横浜市、千葉市、名古屋市といった都市部を中心に割り増しされている。この仕組みを「地域区分」と呼ぶ。単価の「上乗せ割合」は8段階(7級地+その他)。一部で特例が認められているが、原則として公務員の「地域手当て」の区分に従って各市町村を割り振る。個々の単価は、サービスごとに定められている3段階の「人件費割合」をかけて弾き出す。
 

単価が最も高いのは東京23区だ。8段階の「上乗せ割合」は20%(1級地:23区のみ)で、1単位の単価は最高で11.4円となっている。ただし、都の高齢者福祉施設協議会はまったく不十分だという。今回、何とか改善の機運を盛り上げようと署名活動に踏み切った。
 
署名用紙では、サービスごとの「人件費割合」が実態と合っていないと主張。例えば特養は45%だが、これを大幅に上回る施設がほとんどだとしている。加えて、物価や土地・建物の賃借料の高さが十分に考慮されていないと指摘。地域の特性をうまく反映していない制度が経営を圧迫し、介護職員の処遇改善をさらに難しくしていると訴えている。
 

「多くの人が関心を持ってくれれば」

 
もっとも、「地域区分」が課題を抱えていると考える関係者は多い。
 
厚労省が市町村を対象に調査した(2015年10月)ところ、「近隣の自治体とのバランスにもっと配慮して欲しい」「単価が上がって保険料や自己負担まで上げなければいけない」といった声が多く寄せられた。介護報酬を議論する国の審議会でも、「市町村域を超えたより広域的な範囲で単価を設定してもよいのではないか」「今の人件費割合の3段階は妥当なのか」といった意見が出ている。それぞれの置かれている状況が多様なうえ、費用の増減を生じさせない「財政中立(例えば、どこかを上げたらその分どこかを下げる)」が前提となることもあり、例外なく全地域・サービスの納得を得るのが難しい面も否めない。
 
厚労省は来年度の介護報酬改定を機に、各市町村の意向を踏まえて48自治体の級地を変更する方針だ。10月27日の審議会で明らかにした。2020年度までの3年間、全国の自治体をそれぞれどの級地に位置付けるのか −− 。その一覧表も公表した。サービスごとの「人件費割合」も必要に応じて見直す、との意向も表明。今年度の「経営実態調査」の結果を検証し、最新の動向を制度にうまく反映させたいと説明した。年内に具体策を提案するという。
 
第148回社会保障審議会介護給付費分科会資料
 
都の高齢者福祉施設協議会で署名活動を担当する谿直樹(たになおき)さんは、「東京の大都市圏では介護施設・事業所の運営が非常に厳しい。経営努力にも限界がある」と話す。「地方には地方の意見があるはず。『地域区分』をめぐる議論を喚起する意味も込めて署名活動を始めた。来年度の介護報酬改定に向けたプロセスでは、よりたくさんの人が関心を持つ大きな論点になって欲しい」としている。

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