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Report

2017.11.1
= 社保審・介護給付費分科会 =

訪問介護の生活援助、ヘルパー以外も可能に 新研修が要件 報酬減が焦点

 


《 社保審・介護給付費分科会 1日 》

厚生労働省は1日、訪問介護の生活援助を中心としたサービスの担い手の資格要件を来年度から緩和する方針を固めた。新たに創設する短時間の研修を修了すれば、ホームヘルパーでなくても提供できるようにする。人材の裾野を広げることにより、慢性的な人手不足の解消につなげていきたいという。介護報酬改定に向けた協議を進めている審議会で提案し、委員から大筋で了承を得た。
 
今後の焦点は対価をどうするかだ。生活援助を中心としたサービスの基準を緩和する際には、「それに応じた報酬」を設定する −− 。厚労省はこれまでそう繰り返してきた。この日の会合でも、「身体介護に重点を置くなど報酬にメリハリをつけてはどうか」と説明。生活援助の報酬を引き下げる案が念頭にあり、その是非について意見を求めた形だ。
 
多くの委員がかなり慎重なスタンスをとった。「さらに報酬を下げて人材を確保できるわけがない」「事業者が撤退して必要なサービスが行き届かなくなる」。そんな批判が相次いだ。「政府が目標とする『介護離職ゼロ』に逆行する」との指摘も出た。一方で、一部の委員は「給付費の抑制につながる」といった肯定的な見方を示している。財務省も先月に開催した「財政制度等審議会」で、「不必要なサービスが提供されている可能性がある」などと問題を提起し、改めて適正化を強く迫っていた。
 
厚労省は今後、与党とも調整しつつ議論を深めていく方針。政府は年末に全体の改定率を決める予定で、それが報酬の多寡に大きな影響を与える。生活援助の対価が下がると、新設する研修を受けるメリットも小さくなってしまう。担い手が十分に集まらなければ、ヘルパーやサ責が今より低い報酬でサービスを提供せざるを得なくなり、彼らの処遇がより悪化する懸念がある。訪問介護の現場が一段と疲弊すれば、地域包括ケアシステムの後退を招いてしまうかもしれない。
 
もっとも、介護保険の給付費は急激に伸びている。保険料も上がり続けており財政は非常に厳しい。訪問介護の費用額は2015年度の時点でおよそ9300億円(介護給付費等実態調査。介護予防含む)。今後さらに増えていく見通しで、思い切った改革に乗り出すべきという声も決して少なくない。生活援助の対価をどうするかは、次の介護報酬改定をめぐる大きな焦点の1つとなっている。
 

「入門的研修」とは別

 
厚労省は新たな研修を来年度から実施する方針。カリキュラムでは認知症に関する知識や観察の視点の修得を重視するとした。詳細はこれから詰めて年度内に固める。生活援助に特化した内容とするため、既に導入を決めている「入門的研修」や総合事業の研修とは別に設けるという。このため来年度からは、初任者研修の前段階でこの3つが並立することになる。厚労省の担当者は、「相互に共通する科目は繰り返し受けなくて済むように配慮する」と話した。
 
新たな研修を終えた人は、「常勤換算方法で2.5以上」の人員基準の対象に含める −− 。厚労省はそんな構想も明らかにした。一部の委員から異論が出たため、これから年末にかけて検討を続けていくとしている。

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