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Report

《 2019.10.29 》
= 社保審・介護保険部会 =

訪問・通所介護の総合事業への移行、慎重論が大勢 全国一律の実施は見送りへ


《 社保審・介護保険部会 28日 》

社保審・介護保険部会の28日の会合で、要介護1、2の利用者を対象とする訪問介護と通所介護を市町村の総合事業へ移す構想が取りあげられた。

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自治体や介護現場の関係者からは反対意見が続出。保険料を支払う現役世代や企業の立場を代表する委員からも、慎重に検討を進めるよう促す声があがった。厚生労働省も市町村の立場を尊重したいと説明しており、次の2021年度の制度改正で全国一律に断行される可能性は極めて低くなっている。
 
第84回社会保障審議会介護保険部会
 
厚労省はこの日の論点ペーパーで、配慮すべき視点に「総合事業の実施状況」や「市町村の意向」をあげた。担当者は会合後、「今後も引き続き議論を深めたい」と述べるにとどめた。
 
来月にも具体策を提案する。年内にはコンセンサスを形成し、来年の通常国会に介護保険法の改正案を提出する計画だ。
 

「いま無理に移しても…」

 

この構想は財務省や経済界が繰り返し実現を迫ってきた経緯がある。右肩上がりの給付費や保険料の抑制につなげることが狙いだ。
 
この日のディスカッションでも経団連の井上隆常務理事が、「財源、人材には限りがある。介護保険はより専門的なサービスを要する重度者に重点化すべき。軽度者へのサービスは総合事業へ移して欲しい」と要請した。
 
一方で、大企業のサラリーマンなどが加入する健康保険組合連合会の河本滋史常務理事は、「大きな方向性としては移行を目指すべきだが、現行の総合事業はまだ意図された目的に達していない」と指摘。中小企業が加入する協会けんぽの安藤伸樹理事長も、「住民主体のサービスなどが十分に育っていない。いま無理に移しても効果的・効率的な取り組みを期待するのは難しい」との認識を示した。

市町村の立場を代表する香川県高松市の大西秀人市長は、「総合事業も担い手の確保が大きな課題。それが解消する見込みもない中では対応しかねる。現段階での移行は現実的ではない」と言明。「市町村の考えをしっかり踏まえて頂きたい」とくぎを刺した。
 
このほか、日本介護福祉士会の石本淳也会長は、「軽度の状態から十分な支援を行わなければ真の自立支援は図れない」と主張。認知症の人と家族の会の花俣ふみ代常任理事は、「何度でも言うが、そもそも要介護1、2は決して軽度者ではない」と訴えた。