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Report

《 2019.10.30 》
= 社保審・介護保険部会 =

介護の自己負担引き上げ、具体案をめぐる調整を本格化へ 厚労省


《 社保審・介護保険部会 28日 》

次の介護保険制度の改正をめぐる最大の焦点となる利用者の自己負担の引き上げについて、厚生労働省は引き続き慎重に検討を進めていく方針だ。

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現行の2割負担、3割負担の対象範囲をどう考えるべきか?
 
28日に開催した社保審・介護保険部会ではそう問いかけ、ゼロベースで意見を交換。相対的に余裕のある利用者の負担を増やすことへの抵抗はそう強くなく、断固反対のスタンスをとった委員は少数派だった。低所得者の生活を追い込まないよう十分に配慮しつつ、具体案の策定に向けた調整を本格化させる構えだ。
 
第84回社会保障審議会介護保険部会
 
厚労省はこのほか、毎月の自己負担に上限額を設ける仕組みの「高額介護サービス費」の見直しも俎上に載せている。年内にこれらのコンセンサスを形成し、来年の通常国会に介護保険法の改正案を提出する計画。
 

 財務省は原則2割を主張

 

自己負担の引き上げは今後の厳しい財政を勘案した動き。このままでは現役世代、将来世代の負担が重くなり過ぎてしまう、という賛成の声も根強い。財務省や経済界などは「原則2割」を主張。段階的にそこへもっていくよう迫っている。
 
現行の2割負担、3割負担の対象範囲は以下の通り。こうした“所得ライン”をどこまで下へずらすか、が大きな論点となっている。
 
2割負担=「合計所得金額が160万円以上」かつ「年金収入+その他の合計所得金額が280万円以上(単身世帯の場合。夫婦世帯は346万円以上)」
 
3割負担=「合計所得金額が220万円以上」かつ「年金収入+その他の合計所得金額が340万円以上(単身世帯の場合。夫婦世帯は463万円以上)」
 
合計所得金額
収入から公的年金控除や給与所得控除、必要経費を控除した後で、基礎控除や人的控除などの控除を行う前の所得金額

「不安が募るばかり」との声も

 

この日の会合では、中小企業のサラリーマンやその家族らが加入する協会けんぽの安藤伸樹理事長が、「現役世代の保険料の伸びを抑えて欲しい。2割負担の対象範囲を広げるべき」と主張。日本医師会の江澤和彦常任理事は、「低所得者にきめ細かい配慮を。高所得者は保険料も高いので、懇切丁寧に説明する必要がある」と述べた。
 
一方、連合・総合政策推進局の伊藤彰久生活福祉局長は、「2割負担の対象範囲の拡大は極めて慎重に検討すべき」と牽制。認知症の人と家族の会の花俣ふみ代常任理事は、「自己負担の引き上げ、介護保険制度の後退を非常に心配している。生活の苦しさや不安は募るばかりだ」と訴えた。