広告

Report

《 2019.11.28 》
= 社保審・介護保険部会 =

「要介護1、2は軽度者じゃない」 訪問・通所の総合事業への移行に批判続出

Joint編集部

《 社保審・介護保険部会 》

次の介護保険制度改正をめぐる協議を重ねている社会保障審議会・介護保険部会の27日の会合で、要介護1、2の高齢者に対する訪問介護と通所介護を市町村の総合事業へ移す案について、委員からまたも慎重論が相次いだ。

広告

高齢者の急増と現役世代の急減が同時に進む今後、制度の持続性をどのように担保していけばいいのか − 。
 
今回のメインテーマの1つだ。師走を目前に控え、部会は核心に迫る議論を具体的に行う段階に入っている。
 
第86回社会保障審議会介護保険部会
 
要介護1、2の訪問・通所を総合事業へ移す案は、財務省が繰り返し訴えてきた経緯がある。
 
財務省は今月25日にまとめた提言でも、要介護1、2を「軽度者」と定義。「多様な人材・資源を活用したサービス提供を可能とすることが効率的」と改めて注文した。ボランティアなどの力を借りる仕組みへ転換していき、給付費の伸びの抑制につなげることが狙いだ。
 
こうした主張には、現役世代の保険料を負担している経済界が賛意を示している。
 
この日の会合でも、日本商工会議所の岡良廣委員が「この機会にしっかり移行させるべき」と要請。日本経団連の井上隆委員は、「団塊の世代が後期高齢者になっていく。現状のままでは制度を維持できない。痛みを伴うが進めて欲しい」と求めた。
 

 先送りの方向で調整進む

 

一方、高齢社会をよくする女性の会の石田路子委員は、「要介護1、2の方々を軽度者と言うのはどうか。よく考えないといけない」と指摘。認知症の人と家族の会の花俣ふみ代委員は、「繰り返し言うしかない。要介護1、2の方々は軽度者ではない。本人の生活を整える生活援助などは不可欠。家族が同居していても認知症の人への支援は苦労の連続だ」と反論した。

このほか、桜美林大学大学院教授の鈴木隆雄委員も、「要介護1、2の方々を軽度者と呼ぶことに疑問を持っている。地域の支援体制は十分とは言えず移行は時期尚早」と述べた。
 
《関連記事》
訪問・通所の総合事業への移行、全国一律の実施は見送りへ
 
この案をめぐってはネガティブに考える立場が支配的だ。総合事業がまだ未成熟なままで、現場の担い手の確保にもかなり大きな課題を抱えていることから、今すぐに移行させても期待する成果は得られない − 。そうした見方が大勢を占めている。
 
介護現場の関係者、自治体の関係者が幅広く国に慎重な対応を促しており、政府・与党内では現在、次期改正での一律の移行は見送る方向で調整が進められている。