広告

Report

《 2019.12.17 》
= 社保審・介護保険部会 =

訪問介護・通所介護の総合事業への移行、見送り決定 厚労省

青木太志

《 社保審・介護保険部会 16日 》

厚生労働省は16日、要介護1、2の高齢者に対する訪問介護と通所介護を市町村の総合事業へ移す案について、2021年度の次の制度改正では実施しない方針を決めた。

広告

社会保障審議会・介護保険部会で見送る意向を示した。来週にまとめる審議報告に盛り込む。自治体の関係者、現場の関係者から多くあがっていた慎重論に配慮した格好だ。
 
第88回社会保障審議会介護保険部会
 
この日の会合では、給付費が右肩上がりに推移して保険料の上昇が続いていることなどを念頭に、早期の実施を改めて求める意見も出た。この案は2024年度の制度改正をめぐる議論で再び大きな焦点となる。

総合事業は市町村がサービスの対価や運営基準などを独自に設定できることが特徴。厚労省は2015年度から段階的に、要支援1、2の訪問・通所をこのスキームへ移行させた。
 
全国一律のルールに基づく給付をやめ、地域のニーズに応じた多様なサービスを柔軟に提供できるようにする − 。移行の大きな目的だ。ボランティアなどが主体となるより低コストな仕掛けを普及させ、給付費の抑制に結びつけるという思惑もある。
 
ただし、担い手不足の問題もあって総合事業はまだ十分に進展していないのが実情。このため部会の委員の間では、今の段階で無理に要介護1、2を移しても期待するような効果は得られない、という見方が支配的だった。
 
とりわけ、市町村の立場を代表する委員が早急な実施は好ましくないと主張。「地域の体制は不十分で混乱を招く」「時期尚早だ」などと繰り返し理解を求めていた。

この案は、給付費の更なる膨張を懸念する財務省や経済界が実現を強く迫ってきた経緯がある。この日の会合では、「現役世代の負担が重くなっていることへの配慮が足りない」「重度の高齢者に給付を重点化していくべきではないか」との声もあがった。
 
厚労省は審議報告に、両論を併記したうえで「引き続き検討を行う」と記載する考えだ。