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《 2020.10.26 》

介護現場の生産性向上セミナー開始 ノウハウを詳しく解説 全国で開催へ

Sponsored by 日本能率協会総合研究所


《 第1回の静岡会場の様子 》

今後、現役世代の急減で人材確保はますます難しくなっていく。生産性の向上はどの業界でも不可避の中心的な課題だ。もちろん介護分野も例外ではない。【Joint編集部】
 
多くの事業者が参考にしているのは、サービス類型ごとに作成された厚生労働省のガイドライン。具体的なノウハウが幅広く盛り込まれており、自分の職場の業務改善を実際に進める過程で実務的に活用できる。
 
このガイドラインの内容を詳しく解説する施設向けのセミナーが、今月8日からスタートした。これから全国各地で開催されていく。厚労省も後援していて参加費は無料。オンライン開催の日程もあり、自宅にいながら学ぶ機会を得ることも可能だ。
 
介護現場(施設サービス)における生産性向上セミナー
 
セミナーは講演、ワークショップ、まとめの3部構成。法人や施設の経営者・幹部と現場ミドルが、2人1組で参加する形式となっている。運営を担うのは、医療・介護の人材育成などに力を入れる株式会社TRAPEだ。
 
■ なぜ今、生産性の向上か
 
キックオフとなった今月8日の静岡会場。セミナーの第1部では、TRAPEの代表取締役を担う鎌田大啓(ともひろ)氏が講演した。

《 第1回の静岡会場の様子 》

そもそも、今なぜ生産性の向上が求められるのか? 最大の理由はやはり人材の確保・育成だ。鎌田氏はまずそのことを語った。
 
少子高齢化の更なる進展や新たなテクノロジの普及、withコロナ時代への移行など、社会を取り巻く環境が大きく変化していると改めて指摘。「どの業界も大きな変化を余儀なくされている。介護現場も同じように変わらないと対応できない。課題を放っておくと離職者も増え、サービスの質が下がる“負のループ”に陥る」と強調した。
 
あわせて、業務改善を図ることで人材を育てるための時間、余力も生み出せると力説。以下のように持論を展開した。
 
「利用者へより良いケアを提供しようという創造的な活動をする人を生み出すこと、そうした職員がもっと働き甲斐を感じられるような環境を作ること、それが介護現場における生産性向上の真の意義」
 
■ 職員に課題を書き出してもらう
 
具体的なノウハウとしては、厚労省のガイドラインに沿って、1.準備、2.課題の見える化、3.実行計画、4.実際の取り組み、5.振り返りと見直し − という5つのステップが紹介された。
 
まずは準備。「どうして生産性の向上を目指すのか、を丁寧に伝えて取り組みの目的、意味合いを施設内で共有することが大事」。鎌田氏はここで、カギになるポイントの1つをそう説明した。
 
課題を見える化するステップでは、日頃から感じている疑問、問題意識を職員に書き出してもらうことを推奨。それらを付箋にまとめてホワイトボードなどで整理し、因果関係の図を作りながら改善策を練る手法をレクチャーした。
 
実行計画については、一定のゴールを定めてその達成に必要なアクション、担当者、スケジュールを決めることなどを提案した。実際に取り組みを進めてみた後で、実行計画の達成度を評価することの重要性も指摘。上手くいったこと、逆にいかなかったことを皆で話し合い、その後の更なる展開につなげて欲しいとした。
 
トライ&エラーを繰り返し、小さな課題解決を1つ1つ積み重ねていくこと。それが大切だという。鎌田氏は、「あまり完璧を求めすぎないことも継続のコツ」とも話した。
 
■「現場の可能性に気付くきっかけに」

《 第1回の静岡会場の様子 》

第2部のワークショップは、経営者・幹部と現場ミドルで部屋を分けて実施された。ともにテーブルへ4、5人ずつ、いくつかのグループを組んで進行するスタイルだ。
 
経営者らの部屋では、グループを1つの法人に見立ててディスカッション。現場から寄せられたと仮定した課題を取り上げ、その解消に向けて管理職が担うべき役割などについて考えた。一方の現場ミドルの部屋では、グループごとに課題を書き出して因果関係の図を作る実践などが行われた。
 
第3部のまとめでは両者が再び合流。ワークショップを通じて感じたことを共有したうえで、施設ごとに取り組みの方向性や目標を設定した。
 
セミナーを終えた参加者からは、「抽象的だった課題が具体的に細分化して把握できた」「ここで自分たちが教わったノウハウを現場へ持っていき、皆で成果を出せるようにしたい」などの声が聞かれた。
 
鎌田氏はセミナー終了後、「どこから手を付ければいいか、という道筋が見えるだけで、それぞれの現場の可能性に気がつくきっかけになると思う」と話した。「似たような課題を抱えている人は大勢いる。ぜひ参加して、皆で業務改善に向けた有効な取り組みについて意見を交換して欲しい」と呼びかけている。
 
介護現場(施設サービス)における生産性向上セミナー
 
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