全国初! 介護施設で車いすの自動運転 往復走行で転倒防止・業務負担軽減へ


電動車いすのWHILLと湖山医療福祉グループが22日に共同で記者会見を開き、全国初の取り組みを明らかにした。神奈川県川崎市の特別養護老人ホーム「蟹ヶ谷」で5月1日から、WHILLの自動運転モデルとスタンダードモデル(*)の双方の活用を始めると発表した。【Joint編集部】
* 利用者が自ら操作する電動車いす
テクノロジーを駆使して施設内外の移動環境を整備し、利用者の快適な暮らしを下支えする。同時に介護職の業務効率化、働きやすい職場環境づくりを進める。
自動運転モデルは主に、居室⇔浴室の往復など屋内の決められたルートに沿って、利用者の安全を確保しながら運用していく。付き添いの負担を軽くできるほか、利用者の転倒リスクの回避にもつながると見込んでいる。
一方のスタンダードモデルは、主に屋外での散策などの利用シーンを想定。面会に来た親族との時間をより充実させるなど、利用者のQOL向上に役立てたいという。
湖山医療福祉グループの湖山泰成代表は会見で、「通常の車いすの運用ではマンツーマンでスタッフが付く必要があり、大勢を移動させる際は非常に多くの労力を要する。そこで自動運転の電動車いすを導入できないかと考えた。将来的には20台から30台の自動運転モデルをまとめて運用したい」と述べた。

また、WHILLの自動運転サービス事業本部執行役員・本部長の植田剛之氏は、「自動運転モデルを運用することで、安全を確保しながら、施設スタッフの負担軽減と業務効率化を図る。利用者側についても、“押してもらう申し訳なさ”といった心理的負担の軽減につなげたい。(移動が手軽になれば)周囲とのコミュニケーションが創出されるので、皆様に快適で楽しい時間を過ごしてほしい」と語った。
WHILLは今後、今年9月に川崎市で新たに開所する別の特別養護老人ホームにも自動運転モデル3台、スタンダードモデル3台を導入する予定。現場のニーズに応えられるサービス形態を模索しつつ、同様の課題を抱える施設へ取り組みを展開していきたいと意欲をみせている。