2025年5月22日
「一刻も早く」「遅すぎる」 介護職の賃上げ、早期実現を迫る声相次ぐ 人材流出で募る苛立ち=介護保険部会


介護職の賃上げの早期実現は業界の総意だ。今回も多くの委員がそれを訴える展開となった。【Joint編集部】
今後の介護保険制度の改正を話し合う審議会(社保審・介護保険部会)は19日の会合で、人材確保という最大の課題を取り上げた。
働きやすい職場環境づくりや生産性向上に注力するのは当然で、これを追求する重要性を改めて確認した。焦点となったのは、やはり賃上げをどう進展させるかだ。
厚生労働省は近年の物価高、全産業平均の給与水準の動向を注視しつつ、「処遇改善を推進していく」と説明。より精緻な人材推計を地域ごとに実施し、それぞれの実情に応じた効果的な対策を講じる必要があるとの認識も示した。
◆「介護報酬の設定に問題がある」
「あまりにも対応が遅いと言わざるを得ない」
UAゼンセン日本介護クラフトユニオンの染川朗会長はこう不満をあらわにした。そのうえで、「物価高や他産業の賃上げには毎年対応すべき。人材流出を防ぐため、速やかに給与格差を解消すべき」と語気を強めた。
日本医師会の江澤和彦常任理事は、「圧倒的に処遇が低いことで人材流出が止まらない。もはや事業所の自助努力ではどうしようもない」と強調。「公定価格の介護報酬の設定に大きな問題がある。抜本的な見直しを一刻も早く実施すべき」と求めた。
また、全国知事会を代表する立場で参加した長崎県の担当者(大石賢吾知事の代理出席)は、「人材の取り合いが激しく、賃金や労働環境で他産業より優位に立たない限り、人材確保は非常に困難」と指摘した。
高齢社会をよくする女性の会の石田路子副理事長は、「これまでと同じような施策では何も変わらない。抜本的な取り組みをしないと間に合わない」と訴えた。