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2025年7月7日

今年上半期の訪問介護の倒産、過去最多に 中堅規模にも波及 進む業界の地盤沈下

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《 画像はイメージ 》

訪問介護事業者の倒産が、今年も過去最多のペースで推移している。東京商工リサーチが7日に公表した最新のレポートで明らかになった。【Joint編集部】

今年1月から6月までをみると、訪問介護事業者の倒産は45件。上半期として2年連続で過去最多を塗り替えた。原因では売上不振が38件と8割を超えており、基本報酬の引き下げやホームヘルパーの不足が経営を直撃している構図が浮かぶ。

倒産の波は零細事業者にとどまらず、中小・中堅事業者にも広がっている。職員10人以上の事業者の倒産が9件。負債1億円以上は6件、資本金1千万円以上も6件あった。いずれも前年の2倍で、業界の地盤沈下が進んでいる現状を読み取れる。


訪問介護は在宅の最前線を持ち場とする地域包括ケアの要。その運営には、事業者の十分なノウハウ、ヘルパーのスキルと柔軟な対応力、利用者・家族からの信頼が欠かせない。


制度の創設からこれまで、地域を支えてきたのは零細・小・中堅の事業者だった。現在、その倒産や休廃業が相次いでサービスの基盤が大きく揺らいでいる。国や自治体の支援策もあるが、物価の高騰や他産業の賃上げなども追い打ちをかけるなか、収益改善の糸口は見えにくい。

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東京商工リサーチは、「デジタル化による効率化や人材確保につながる賃上げが課題だが、自力での経営改善には限界がある」と分析。「国や自治体の支援強化が必要。訪問介護業界の明るい環境を作ることが急務」との見方を示した。


淑徳大学・総合福祉学部の結城康博教授は、「速やかな臨時の報酬改定で、まずは基本報酬を引き下げ前の水準に戻すべき。それだけで状況が好転するわけではないが、2024年度の報酬改定を反省し、訪問介護の体制整備を重視して今後も推進していくという姿勢を、国として明確に示すことが大事ではないか」と指摘。「当然、さらなる基本報酬の引き上げやヘルパーの賃上げが欠かせない。参院選では介護政策にも焦点を当ててもらいたい」と述べた。


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