2025年11月11日
食費高騰、介護施設への影響深刻 特養の77%が「工夫は困難」 1千万円規模の赤字も
全国老人福祉施設協議会は7日、特別養護老人ホームの食事サービスの現状をまとめた調査結果を公表した。【Joint編集部】
それによると、77.1%の特養が「これ以上、食事の質を維持する工夫の余地がない」と回答。食材費高騰への対応が限界に達している実態が改めて浮き彫りになった。
食材費高騰への具体的な対応としては、「安価な食材への変更(63.9%)」、「仕入れ先や仕入れ方法の工夫(44.6%)」、「提供方法や食材管理などの工夫(44.4%)」が上位を占めた。しかし、「品数や提供量を減らした(38.4%)」、「行事食や選択食を減らした(43.8%)」など、質や量の低下につながる対応も目立つ。
栄養士からは「栄養価の維持が困難」「使用材料が被ってしまう」「消耗品や食器類などすべてが高騰しており、コストを抑えることに限界を感じる」といった声が寄せられた。利用者や家族からも、「量が少ない」「味が落ちた」「もう少しお金を払ってでも食事を良くしてほしい」との意見が寄せられている。
老施協の試算では、利用者1人1日あたりの食費は今年6月で1787.6円で、前年より87.7円上昇。基準費用額との乖離により、定員80人規模の特養で年間約1千万円の赤字となるケースも出ている。
この調査は9月16日から10月3日にかけて実施。老施協会員の特養を対象にWebで行われ、栄養士902人が回答した。









