2025年12月9日
障害福祉サービスでもカスハラ対策を義務化 厚労省、運営基準の見直しを提案 審議会では慎重論も
厚生労働省は8日の審議会(社会保障審議会障害者部会などの合同会議)で、障害福祉サービスの運営基準を見直し、事業者にカスタマーハラスメントの対策を義務付けることを提案した。【Joint編集部】
これから基準改正の検討を深めるが、委員からは慎重な運用を求める声が上がった。
今回の提案は、カスハラ対策を事業者に義務付ける改正労働施策総合推進法が今年6月に成立したことを踏まえたもの。厚労省は11月、介護分野ですべての事業者にカスハラ対策を義務付ける方針を示していた経緯がある。介護分野・障害福祉分野ともに、2021年度の報酬改定でパワハラ・セクハラの対策は既に義務付けられている。
この日の審議会では、厚労省の提案に対する懸念の声が上がった。
「少なくとも障害福祉の分野で、カスタマーハラスメントという言葉を使うのは時期尚早と言わざるを得ない」
委員の1人はこう指摘。「障害者が長年尊厳を奪われてきた背景や、個々の障害特性に関わる行動への十分な配慮が必要」と呼びかけた。また、別の委員は「カスハラ対策が行き過ぎて、安易にサービスの撤退や契約解除ができるような方向性は避けるべき」と念を押した。
厚労省は今後、障害福祉サービスの運営基準の改正をめぐる検討と併せて、対応マニュアルの見直しや現場への周知徹底などを進めるとしている。









