2025年12月25日
介護職による高齢者虐待、過去最多1220件 昨年度 相談・通報は3600件超 厚労省調査
厚生労働省は25日、高齢者に対する虐待の実態を明らかにする調査の最新の結果を公表した。【Joint編集部】
昨年度の介護事業所・施設の職員による虐待の判断件数は1220件。前年度から8.6%増加し、過去最多を更新した。相談・通報件数も3633件(同5.6%増)に上り、過去最多となった。
虐待の発生要因(複数回答)としては、「虐待や権利擁護、身体拘束に関する知識・意識の不足」が75.9%で最多。「倫理観・理念の欠如(64.3%)」、「ストレス・感情コントロール(62.5%)」が続いた。
厚労省の担当者は虐待が増加している要因について、「虐待を社会問題として捉える意識が高まり、これまでは認識されてこなかったケースが顕在化している側面がある」と分析した。このほか、介護事業所・施設の職場環境や深刻な人材不足が影響している可能性もある。
今回の結果を受けて、厚労省は25日付で各都道府県や関係団体に対し、介護事業所・施設での虐待防止措置の徹底を求める通知を発出する。厚労省の担当者は「周知啓発も含め、引き続き虐待防止の取り組みを推進していく」と述べた。
一方、高齢者の親族ら養護者による虐待の相談・通報件数は4万1814件(前年度比3.5%増)で過去最多となった。虐待の判断件数は1万7133件(同0.2%増)で横ばいだった。
虐待の発生要因としては、「被虐待者の認知症の症状(58.1%)」と「虐待者の介護疲れ・介護ストレス(57.2%)」が多い。家庭での介護負担の重さが改めて浮き彫りになった格好だ。








