「本当にこのまま崩壊させていいのか」 介護現場に広がる怒りと虚無感 緊急集会で賃上げ実現を叫ぶ


「私たちを見捨てないでください」。介護現場の関係者があえてありのままに声をあげた会場は、静かな怒りに覆われていた。【Joint編集部】
8日、介護サービスの事業者や専門職などで組織する団体が共同で緊急集会を開催。国に支援策の強化を訴える決議文を採択した。
決議文は、「介護現場で働くあらゆる職員に充分な賃上げをすること」が柱。介護職の賃上げが進まず、他産業に大きく遅れをとっていることへの強い抗議の意味を込めて、給与格差の解消に向けた施策を速やかに講じるよう求めた。
あわせて、長引く物価の高騰に伴うコスト増にも言及。事業所・施設の経営を安定させ、将来にわたって必要な人材を確保できるようにするため、追加的な補助金の支給や介護報酬の引き上げなどを要請した。
全国老人保健施設協会の東憲太郎会長は挨拶で、「給与格差は開く一方だ。他産業への人材流出が加速度的に進んでおり、介護現場はこのままではもたない」と危機感をあらわにした。そのうえで、「介護現場で働くあらゆる職員の給与が全産業平均並みとなるよう、必要な財源の確保をお願いしたい。私たちを見捨てないでください」と改めて訴えた。
また、日本認知症グループホーム協会の河﨑茂子会長は、「介護職が今日も真摯に、真面目に働いているからこそ、国民の皆様が安心して働いて生活できている。介護職が辞めたら社会はどうなるのか。本当にこのまま崩壊させていいのか」と投げかけた。
全国老人福祉施設協議会の大山知子会長は、「高齢者の命と生活を支えている介護職への手厚い賃金補助体系を組まない限り、日本の将来はないのではないか。もう使命感だけに頼ってはいけない」と語気を強めた。
このほか、自民党の田村憲久元厚生労働相も挨拶し、「介護職が減ったのは処遇が悪いから。これを改めないと介護現場はこれから崩壊する」と言明。「そうなれば親の介護が必要になった人がみな働けなくなる。若い現役世代のためにも、介護現場を充実させなければいけない」と意欲をみせた。