インカムで支援、カメラで見守り 訪問介護の外国人とICT 厚労省が好事例紹介


外国人介護人材の訪問系サービスへの従事が、4月から正式に解禁された。
厚生労働省は今月9日、その円滑な運用に向けて事務連絡を発出。受け入れ事業所が遵守すべき要件の1つに位置づけた「ICTの活用等による環境整備」について、実際に有効に活用している事例を紹介した。【Joint編集部】
今回の事務連絡は、厚労省が昨年度に実施した調査研究事業の成果をベースとするもの。同事業では、外国人の受け入れ・定着に向けたICTの効果的な活用などの実態を詳しく把握し、報告書や事例集としてとりまとめている。
事務連絡では、事例集に収められた具体例のひとつが紹介されている。定期巡回・随時対応サービスを展開する株式会社SPIN「スピンケア24つむぎ二見町」(兵庫県明石市)の取り組みだ。
同事業所では、スマートフォンのアプリで利用できるインカムを導入し、訪問中の職員が緊急時に上司や看護師などとリアルタイムで連絡をとれる体制を整えている。サービス同行をする必要がある際に、オンラインでも対応できるようにしているほか、利用者の許可を得たうえで動画や写真をスマートフォンで撮影し、居宅内の注意点を効率的に共有する工夫も行っている。
※ 導入事例の報告会の動画はこちら。
さらに夜間の訪問では、丁寧な説明と同意を前提として、リスクの高い利用者宅や訪問で安眠を阻害してしまう可能性のある利用者宅に見守りカメラを設置。プライバシーに配慮しつつ、必要時のみ映像で状況を確認する運用も行っている。職員が1対1で対応する訪問系サービスではハラスメントのリスクも指摘されているが、トラブル防止や証拠保全に映像を役立てられる点も評価されている。
厚労省は事務連絡で、こうしたICTの活用が外国人の安心・安全、業務負担の軽減、職場への定着に直結するとして、各自治体に現場の関係者への周知を呼びかけた。ICTの活用は効率化だけにとどまらず、外国人の本来の力を最大限に引き出すための重要な土台となっている。