

厚生労働省は11日、介護保険の福祉用具貸与のルールを見直す方針を固めた。通信機能を備えた機器の規制を時代に合わせる形で、給付の対象となる福祉用具の範囲を拡大する。【Joint編集部】
11日に開催した有識者会議で方針を示し、大筋で了承を得た。近く介護報酬を議論する審議会(社会保障審議会・介護給付費分科会)に報告し、正式に決定する。その後、福祉用具貸与のルールを定めている通知などを改正する方針だ。
技術の進歩やスマートフォンの普及などで増えてきた便利な機器を、より多くの利用者・家族が使えるようにする。厚労省の担当者は会合で、「テクノロジーの力を活用して社会課題を解決していくことは、これからの福祉用具の新しい使命」と説明した。どこまでの範囲を保険でカバーすべきか、今後も多角的に検討を深めていく構えだ。
厚労省は今回、GPSで位置情報を家族らに通知する車いすや歩行器などを、新たに給付の対象として追加する。現在の使用状況、バッテリーの状態、異常・故障などを通知する機能も対象に含める。
現行では、通信機能の部分が物理的に分離できる機器しか認めないなどのポリシーがあるが、こうした厳格な規定を見直す。認知症の徘徊感知機器についても、利用者の居宅から離れた場所にある端末との通信を可能とするなど、これまでの規制を弾力化する。
月々の通信料金、モデム・ルーター・スマホ・タブレットの環境整備、アプリのサブスク料金などは、引き続き給付の対象外とする。今後、通知の改正とあわせて事務連絡やQ&Aなどを発出し、現場の関係者に細部を周知する考えだ。