2025年7月1日
介護現場の事故防止、傾向の分析やフィードバックなど課題 厚労省 改善策を検討


厚生労働省は6月30日、次の介護保険制度改正に向けた協議を重ねている審議会(社保審・介護保険部会)で、介護現場での転倒や転落、誤薬といった事故をどう防ぐか、リスクマネジメントのあり方を俎上に載せた。【Joint編集部】
今後目指すべき方向性として、国がデータベースを整備して事故の原因や傾向などを明らかにしつつ、その防止に役立つ情報を介護現場へフィードバックする仕組みの整備を提示。介護現場にかかる負担にも配慮しつつ、国による事故情報の一元的な収集・分析・活用と、それを軸にしたPDCAサイクルの構築を実現したいとした。
当面の論点としては、事故の原因・傾向の分析やフィードバックの具体的な方法、国・都道府県・市町村のそれぞれの役割、報告様式の改善などをあげた。
現状にはいくつもの課題がある。
万が一事故が発生した場合、事業所・施設は市区町村へ報告する決まりとなっているが、市町村から都道府県・国への報告は任意。一元的な事故情報の集約ができていない。市町村ごとに報告の対象・範囲・方法にもばらつきがある。介護現場は人手不足で余裕がなく、事業所・施設によって報告の内容・精度も異なる。
厚労省は今後、こうした課題の解消に向けて議論を深めていく方針。この日の審議会では委員から、「事故情報の報告の義務化、報告内容の標準化を進めるべき」「事故の種別・要因・発生場所などをより的確に把握できる様式の整備が必要」「個々の事業所・施設や職員が過度な負担を感じることなく、事故を減らしていけるような仕組みを検討すべき」などの声があがった。