daiichihoki-2025.7-sp-top-banner01
2025年7月8日

SOMPOケア、「未来の介護」の実現に総力 超人材難に挑む鷲見社長の攻めの経営戦略

このエントリーをはてなブックマークに追加
《 SOMPOケア・鷲見隆充代表取締役社長|2025年7月撮影 》

これから2030年にかけて、SOMPOケアは施設でも在宅でも「未来の介護」への転換に総力をあげる。インタビューに応じた鷲見隆充代表取締役社長 CEOが当面の戦略を明らかにした。【Joint編集部】

「テクノロジーに任せられることは任せ、そうでないことを人が担えばいいと考えてきた。発想を変える。人にしかできないこと以外は、全てテクノロジーに任せられるようにしていきたい」


鷲見社長はこう語った。介護業界の課題は、人材が圧倒的に不足することだと指摘。現場の生産性向上を徹底し、得られた余力を介護職の賃上げに充てる方針を改めて打ち出した。介護職の年収を全産業平均まで引き上げる目標の実現を目指す。


先行する介護付きホームでは既に成果が出ている。業務の標準化やテクノロジーの活用などにより、1施設あたりの職員数を以前より減らすことができた。今後、こうした取り組みをさらに加速させる構えだ。


鷲見社長は、「昨年度までに年間で約14億円の生産性向上を実現し、今年度はそれをすべて処遇改善に充当した」と説明。「職員を減らすことが目的ではない。今後、採用が更に厳しくなっていく中でも体制を守らないといけない。そのために、果敢にチャレンジしなければ立ち行かない時代になった」と強調した。

star.partner-2025.6-article-lead-sp-banner01

◆「DDA」の実装を本格化


「未来の介護」の原動力となるのは「DDA」。デジタル、データ、AIだ。これらのフル活用により、業務の効率化と職員の負担軽減、サービスの質の向上を追求していく。


具体策の1つには、例えばケアプランの作成を支援するAIの運用開始も含まれる。社内で蓄積したデータやアセスメント時の音声などを用い、AIがケアプランの素案を自動で作成するシステムの開発を進めてきたが、いよいよ今年度下期から実際に現場へ投入する予定だ。

《 SOMPOケア・鷲見隆充代表取締役社長|2025年7月撮影 》

従来通り、ケアプランの決定はケアマネジャーが責任を持って行うことになるが、鷲見社長は「ケアプラン作成の時間は大幅に短縮できる」と見込む。「現場で運用を重ねることで、システムの精度を継続的に高めていきたい」と説明した。


このほか、日々の業務の可視化・分析、シフト作成の自動化、各種会議の記録作成の効率化、AIコールセンターの運用、画像解析による事故記録の自動化などを、様々なテクノロジーの活用と並行して進めていく構想を描いている。

welmo-article-2025.6-03-lead-sp-banner01

◆ 在宅でも攻めの一手


訪問介護など在宅の領域についても、「未来の介護」へ転換する取り組みに今年度から本腰を入れる。利用者の状況・環境がそれぞれ異なるなど、テクノロジーのフル活用に至る道のりにはハードルが多い。このため、まずはムリ・ムダ・ムラの解消、紙文化からの脱却などを徹底して土台を整える。


在宅にデジタル、データ、AIを落とし込むための実証は、2027年度ごろから本格化させる計画。鷲見社長は、「在宅でテクノロジーをどう活用できるのか、その前提条件となるムリ・ムダ・ムラの解消などを進めながら検討していきたい。なかなか正解が見えない中でも、未来に向けた挑戦を始めていく」と意欲をみせた。


鷲見社長が理念に掲げるのは、強くしなやかでムダのない「筋肉質の経営」だ。インタビューで質問に応じる中では、リーディングカンパニーとして日本の難しい介護問題に向き合っていく姿勢を示した。


「人材確保が一段と難しくなっても、高齢者を支える現場の力は落としたくない」とこだわりをみせる。「我々は我々のできることを徹底して行う。新しい介護の形を創り上げ、介護職の十分な賃上げもあわせて実現したい」と決意を込めた。


lineworks-article-2025.6-lead-pc-side-banner01
Access Ranking
人気記事
介護ニュースJoint