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2025年7月30日

老人ホーム紹介業者の「入居お祝い金」が施設選びに影響 関係者から懸念の声 LIFULL介護が調査結果

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《「LIFULL 介護」を運営する株式会社LIFULL seniorのオフィス(東京都内)》

老人ホームや介護施設などに入居する際、その紹介会社から入居者本人や家族に支払われる「入居お祝い金」が、施設選びに少なからぬ影響を与えている − 。


こうした実態が、老人ホームなどの検索サイト「LIFULL 介護」の調査結果で報告されている。入居お祝い金に惹かれて判断するケースもあり、関係者からは「福祉サービスの公平性、中立性、透明性を損ねる」「社会保障費の不適切な費消を助長する」といった懸念の声もあがっている。【Joint編集部】

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この調査は今年6月に実施されたもの。老人ホームなどに入居した親族がおり、その際に施設選びに関わった男女2500人が対象となっている。


入居お祝い金とは、老人ホームなどの検索サイトや紹介会社を通じて入居先が決まった際に、その紹介会社から入居者本人や家族に支払われる金銭のこと。検索サイトなどの利用を促進するための営業施策の1つだ。一般的に、紹介会社が施設側から得る紹介手数料の一部が原資となっている。


調査結果によると、入居お祝い金を受け取った人の多くが施設選びに「影響した」と答えている。20代では87.9%、30代では82.2%、40代では74.0%など、若い人ほど「影響した」割合が高かった。最も低い70代以上でも32.4%と3分の1を占めていた。


また、入居お祝い金を受け取った人は、紹介会社から特定の施設を「強く勧められた」経験が2倍(72.3%)にのぼっていた。入居後に「転居を考えたことがある」と答えた割合も、受け取っていない人より4割ほど高くなっていた。


自由記述欄には、「希望していない遠方の施設を勧められた」「あまり意向を聞いてもらえなかった」など、不満の声も寄せられていた。

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こうした状況を踏まえ、高齢者住まい事業者団体連合会(高住連)では、紹介事業者の健全性を担保するための「届出公表制度」で、「成約後のお祝い金やキャッシュバックによる顧客誘導」を倫理に反する行為と位置付けている。


事務局長の光元兼二氏は、「紹介事業は相談の質によって選ばれることで健全な競争環境になる。お祝い金に誘導されると、入居を検討する方の選択肢が限定される恐れがある」などと警鐘を鳴らしている。


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