ケアマネジャーの負担軽減や人材確保に向けて、厚生労働省は資格の更新制の廃止に踏み切る。この判断は、業界の関係者におおむね前向きに受け止められている。【Joint編集部】
27日の審議会(社会保障審議会・介護保険部会)では多くの委員が賛意を表明。目立った反対意見は出なかった。会合で共有された見直しのポイントとしては、
◯ ケアマネジャーの資格から更新という概念をなくす
◯ 一定の研修の受講をケアマネジャーに引き続き求めていく
◯ 時間数の短縮やオンデマンド化など、研修の負担は可能な限り軽減していく
◯ ケアマネジャーが必要な研修を受講できるよう、介護サービスを提供する事業者にも十分な対応を求めていく
などがあげられる。今後、厚労省は制度の細部を詰める検討を進めていく方針だ。
◆ 処遇改善を求める声も続出
「研修の受講が労働時間として扱われないケースが生じていたことなども含め、様々な課題の解決につながる」
厚労省が昨年4月に設置した検討会にも委員として参画し、更新制の廃止を先んじて提言してきたUAゼンセン日本介護クラフトユニオンの染川朗会長はこう評価。「研修の時間的・経済的な負担が軽減されるように配慮しつつ、見直しの早期実現に向けて検討を進めてほしい」と要請した。
日本介護支援専門員協会の小林広美副会長は、「5年ごとの資格の更新は離職を決断するタイミングにもなっている。更新制は廃止すべき」と改めて主張。「定期的な研修は必要かつ重要。一定期間内に柔軟に受講できる研修に見直すべき。介護支援専門員本人に義務を課すだけでなく、就業時間内の時間の確保や業務調整など、所属する事業所にさらに配慮してもらえる仕組みを構築すべき」と促した。
また、連合の平山春樹総合政策推進局生活福祉局長は、「更新制の廃止に賛成。その後に一定の研修を求めることにも異論はない。ただ、研修の受講が労働時間として適切に扱われるようにすべき」と指摘。「研修費用も労働者の個人負担とすべきでない」とくぎを刺した。
全国老人福祉施設協議会の山田淳子副会長は、「更新制の廃止に賛成。資格の更新と研修は切り離して考えるべき。研修はポイント制を導入しつつ、ケアマネジャーが現在抱えている課題に寄り添う内容となるよう工夫してはどうか」と提案した。
このほか、高齢社会をよくする女性の会の石田路子副理事長は、「ケアマネ不足の根本的な原因は処遇が改善されていないことではないか」と問題を提起。全国老人保健施設協会の東憲太郎会長は、「賃金の低さを是正しない限り、ケアマネジャーの減少には歯止めがかからないのではないか」と訴えた。










