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2025年11月18日

身寄りのない高齢者の支援を全国で制度化 厚労省が新事業を創設へ 介護職の業務負担にも影響

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《 社保審・福祉部会|2025年8月撮影 》

厚生労働省が身寄りのない高齢者らを支援する新たな事業の創設に向けた検討を進めている。【Joint編集部】

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17日の審議会(社会保障審議会・福祉部会)でその骨格案を提示。社会福祉法などの改正案を来年の通常国会に提出することを念頭に、これから詳細な制度設計を進めていく方針だ。


単身世帯の増加や家族機能の弱まりで、金銭管理や入退院の手続き、死後事務などを任せられる人がいないケースが増える中、公的な支援の仕組みを強化する狙いがある。ケアマネジャーやホームヘルパーのシャドウ・ワークにも密接に関連する動きで、新たな事業の動向は介護職の業務のあり方に影響を与えそうだ。


新たな事業の対象は、判断能力が不十分な人や頼れる身寄りのない高齢者など。見守りや金銭管理、福祉サービスの利用の手続きに加え、入退院・入退所の調整、葬儀、納骨、家財処分などを必要に応じて支えていく。


法的には第2種社会福祉事業として位置付けられ、社会福祉協議会や社会福祉法人など多様な主体が実施できる見通し。料金は原則として利用者負担だが、所得や資産に応じて減免する無料・低額の仕組みも備える。

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厚労省は新たな事業の質の確保に向けて、都道府県への届出、必要に応じた状況調査・業務停止・罰則に加え、ガイドラインの遵守や運営適正化委員会によるチェックなども組み合わせる考えだ。


この日の部会では、新たな事業の創設で「支援の裾野が広がる」と評価する意見が出た一方で、相談の集中や現場の負担増、財政基盤の確保、人材不足などを不安視する声が相次いだ。金銭管理を伴う支援については、「一定の専門性が不可欠」「相続人とトラブルになる可能性がある」といった指摘もなされた。


また、「利用が殺到して優先順位が混乱するのではないか」「サービスの質を担保できるのか」といった懸念も示された。こうした課題を踏まえ、ガイドラインの明確化やチェック体制の強化、本人の意思決定を適切に支援する仕組みづくり、国による十分な支援を促す意見が多かった。


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