厚生労働省は8日に開催した審議会(社会保障審議会障害者部会などの合同会議)で、事業所数が近年急増している障害福祉分野のグループホームについて、自治体の判断で新規指定を制限できる「総量規制」の対象に加えることを提案した。【Joint編集部】
サービスの供給が計画上の必要量に達している地域などで、自治体が参入に一定のブレーキをかけられるようにする狙いがある。
背景にあるのは、一部の地域での供給過剰とサービスの質の低下に対する懸念だ。厚労省によると、例えば「日中サービス支援型」の事業所数は、2021年から2022年にかけて56.8%増、続く2022年から2023年にかけても37.8%増と、急激な伸びを見せている。
厚労省は審議会で、「地域によっては供給が過剰になっている可能性がある」「専門性が明らかに低いと思われる事業者であっても、指定要件を満たしていれば指定せざるを得ない」などと説明した。あわせて、自治体へのアンケート調査の結果も紹介。総量規制の対象に加えるべきサービスとして、グループホームをあげる声が最も多かったと報告した。
もっとも、今回の措置はグループホームの開設を一律に抑制するものではない。
厚労省は、地域の実情に応じて自治体がそれぞれ判断できると強調。強度行動障害の支援や医療的ケアなど、受け皿がいまだ不足している個別ニーズに対応する場合については、総量規制の例外として扱う運用を周知する方針も示した。
これに対し審議会の委員からは、「入所施設からの地域移行の受け皿が全く足りていない。総量規制は慎重に」「サービスの充実が求められる分野の総量規制につながらないようにしてほしい」「重度の障害者らへの対応を総量規制の例外とする運用は義務にすべき」「悪貨が良貨を駆逐する状態を防ぐ仕組みが不可欠」など、厚労省への注文が相次いだ。
厚労省はさらに議論を深め、年内を目途に方針を決める予定。今後、グループホームの運営に関するガイドラインを正式に策定・公表することも含め、サービスの質の確保や地域差の是正を目指す構えだ。









