介護倒産、止まらぬ増加で過去最多176件 訪問介護が押し上げ 進む小規模事業者の淘汰
東京商工リサーチは9日、昨年1年間の介護事業者の倒産状況に関する調査レポートを新たに発表した。【Joint編集部】
倒産件数は176件となり、前年から2.3%増加した。過去最多だった前年(172件)を上回り、2年連続で記録を更新した。コロナ禍前の2019年(111件)と比較すると、約6割も増加している。

背景には累次の厳しい介護報酬改定、終わらない物価高騰、他産業への流出も含めた深刻な人材不足などがある。こうした「三重苦」もあって、生き残りをかけた事業者間の競争が激化。優勝劣敗の状況がより鮮明になっている。業界の新陳代謝が進んでいる一方で、地域のサービス提供体制の更なる脆弱化が懸念されている。
倒産形態をみると、事業をたたむ「破産」が160件で全体の9割超を占めている。再建型の民事再生法などはごくわずかで、将来の展望を描けず市場からの退場を余儀なくされるケースが大半だ。
業態別では明暗が分かれた。「訪問介護」は91件と突出しており、3年連続で過去最多を更新。全体の件数を押し上げる主因となった。
一方、通所介護などの「通所・短期入所」は45件、「有料老人ホーム」は16件となり、ともに前年から減少に転じた。
「その他」の内訳をみると、グループホームが2件から9件へと急増している。物価高騰や人材不足の影響はもちろん、有料老人ホームやサ高住などの台頭で利用者の確保に苦慮する事業所がある。
倒産した事業者の規模は、従業員10人未満が142件(80.6%)、資本金500万円未満が128件(72.7%)など、経営体力の乏しい小・零細がほとんどだ。
政府は来年度の臨時の介護報酬改定で介護職の賃上げを行うが、それでも他産業の水準・ペースには届かない。東京商工リサーチは、「人材確保やコスト上昇への対応は自助努力だけでは追いつかないレベルまで深刻さを増しており、今年も倒産が続く可能性が高い」との見方を示している。










