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2025.11.07 》

介護付きホーム研究サミット2025 全国の先進15事例を表彰 実践的な「未来チャレンジ」が集結

全国介護付きホーム協会(介ホ協)は10月27日、介護現場の前向きな取り組みや創意工夫などを発信・共有する「介護付きホーム研究サミット2025」を開催した。【Joint編集部】


今回の研究サミットでは、介ホ協が掲げる「3つの未来チャレンジ」を軸に、全国の介護付きホームから寄せられた15組の多様で特色ある実践が発表された。

◆ 介ホ協が掲げる「3つの未来チャレンジ」


◯ みんなが笑顔になれる介護サービスへ
>高品質な介護サービスの提供など、入居者の幸福を追求する。


◯ もっと働きがいを感じる介護業界へ
>全産業平均の給与への処遇改善など、魅力的な職場環境を創造する。


◯ 持続可能な介護保険制度へ
>ICT・データの利活用など、品質を伴った生産性向上を実現する。

《「3つの未来チャレンジ」を説明する介ホ協・鷲見隆充代表理事 》

今年は例年以上に参加が広がった。応募事例は昨年度より85%多い87件、応募法人は昨年度の2.6倍にあたる31法人。取り組みの裾野が拡大していることが浮き彫りとなった。優秀賞を受けた15組の介護付きホームは以下の通り。

◆ 優秀賞15事例(法人名/ホーム名)
1.社会福祉法人緑山会/悠久の里
2.SOMPOケア株式会社 西日本第一本部 中部第二事業部
3.株式会社サンライフ小野谷/サンライフ小野谷
4.株式会社ツクイ/ツクイ・サンシャイン新倉敷
5.SOMPOケア株式会社/ラヴィーレふじみ野
6.社会福祉法人敬友会/ケアハウスあおさぎ
7.株式会社チャーム・ケア・コーポレーション/チャームやまとこおりやま
8.株式会社チャーム・ケア・コーポレーション/チャーム奈良公園
9.株式会社ベネッセスタイルケア/まどか南行徳
10.株式会社ニチイケアパレス/ニチイホーム板橋徳丸
11.株式会社クラーチ/クラーチ・ファミリア佐倉
12.株式会社長谷工シニアウエルデザイン/ブランシエール港北2
13.株式会社東急イーライフデザイン/グランクレール芝浦
14.株式会社南日本ケアマネージメント/介護付有料老人ホーム今日館
15.株式会社アライブメディケア 教育推進部 ケアサービス室

◆ 入居者の「働く」役割で大きな効果


このうち、株式会社サンライフ小野谷の「サンライフ小野谷」が見事グランプリに輝いた。

《 介ホ協・鷲見隆充代表理事(左)が「サンライフ小野谷」に表彰状などを手渡す 》

サンライフ小野谷は、入居者が「働く」役割を担う箱折り作業を継続して展開。2019年の開始から66ヵ月で延べ900人以上が参加し、総数約42万枚・活動費約58万円を生み出した。


平日午後の「出勤」が日課となり、非参加傾向の入居者も自然に関わりが増加。非専門職の生活支援員がマニュアルに沿って運営を支え、常勤の介護職がタスクシフトで個別ケアに注力できる体制を構築した。


長期継続者の心身機能の維持・改善も確認され、地域への寄付など社会との接点も拡大。入居者の誇りと職員の負担軽減を同時に実現する好循環を作った。


準グランプリには、株式会社チャーム・ケア・コーポレーションの「チャーム奈良公園」が選ばれた。

《 準グランプリに輝いた「チャーム奈良公園」》

チャーム奈良公園は、現場主導で選択的週休3日制を導入。ヒアリングと少人数のトライアル、アンケートでの検証、シフトの再設計、定期的な改善を繰り返し、職員の欠勤減や負担軽減を実現した。


週休3日制の希望者は4人から12人へ拡大し、採用力や定着率も向上。平均年齢が高い職場でも無理なく運用できるモデルを作り、それを働きがいやサービスの質の向上につなげることができた。


また、特別賞にはSOMPOケア株式会社の「西日本第一本部 中部第二事業部」が選出された。

《 プレゼンするSOMPOケア西日本第一本部 中部第二事業部 》

子育て世代の職員が、小学校や保育園へ出向く出張授業を展開。認知症への理解や車いすの体験などで介護の仕事の魅力を伝えた。


延べ235人の子どもが出張授業に参加し、9割超が「介護は良い仕事」と前向きに回答。職員側も仕事の誇りと動機づけが高まった。今後、導入マニュアルの整備による全国展開も図る。


介ホ協の公式サイトには現在、「介護付きホーム研究サミット2025」のアーカイブ動画が会員向けに掲載されており、ログインすれば優秀賞15組のプレゼンテーションを見ることができる。


現場から始まる前向きな実践が、介護の未来を着実に変えている。各地の挑戦に学び、明日のケアに生かしていきたい。

Sponsord by 一般社団法人全国介護付きホーム協会


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