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2023.01.18 》

夜勤の不安、これで解消! 介護施設がオンコール対応を任せる専門サービス拡大中 看護・介護職の採用にも効果的!

全体の中ではまだ一部、と言った方がいいのかもしれない。ただ、介護現場の働く環境の改善は少しずつ進んできている。【Joint編集部】


国や自治体が繰り返し実践を呼びかけている成果、というわけでは必ずしもない。自発的に試行錯誤を重ねる事業者が以前より増えた。背景にあるのは慢性的な人手不足だ。職員を大切にしなければ敬遠され、ゆくゆくは事業展開が難しい状況に陥ってしまう。事業者は職員のために職場環境の改善に取り組むが、その手間を惜しむと結局は自分の首を絞めることになる。

《 東京都内の介護施設で撮影 》

そんななか、介護施設の医療体制の脆弱さを補う専門サービスが支持を集めている。夜間のオンコールの代行などを柱とする「ドクターメイト」だ。夜勤職員の心身の負担を軽減でき、それが看護師や介護職員の採用に大きく寄与するという。

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いま、介護現場で何が起きているのか。神奈川県の社会福祉法人「ユーアイ21」を取材した。特別養護老人ホーム「太陽の家横濱羽沢」では、「ドクターメイト」を既に導入・運用しているという。対応してくれたのは、次長で介護福祉士の歌川さん、看護師リーダーの鈴木さん、ユニットリーダーの村本さん。得られた効果や使い勝手を具体的に説明してくれた。

《 特別養護老人ホーム「太陽の家横濱羽沢」》

◆「若い看護師の応募が増えた」


  −−「ドクターメイト」を職場に導入していると聞きました。


歌川さん:やはり看護師・介護職員の採用にかなり苦労していたんです。コロナ禍もあって、本当に人手が回らなくなるのではないかという時期もあって…。様々な施策を考えていく中で使い始めることになりました。

《 左から歌川さん、村本さん、鈴木さん 》

活力のある若い方にもう少し来てもらいたいな、という思いもありました。特に看護師の場合、以前は応募が来ても年齢層がかなり高めの方が多かったんです。


  −− 導入の効果はいかがですか?


歌川さん:若い看護師の応募がかなり増えました。求人を出せば反応が返ってくる状態になり、看護師の充足状態が続いています。今は応募者の中から、うちの施設に合いそうな方を選べるようになりました。「看護体制加算(II)」なども新たに取れるようになり、経営的にも相応のメリットを得られています。


  −− 効果が出る要因はどこにあるのでしょうか?


歌川さん:夜間のオンコール対応が不要、という条件をアピールできたことが差別化につながったようです。急な出勤を求められることもなく、妊活、妊娠、出産、子育てなど私生活と両立しやすい職場に魅力を感じる若者が多いんですね。実際に入ってくれた看護師は、病院からの転職の際にその点が決め手になったと話していました。


◆「以前は不安しかなかった」


  −− 看護師さんの立場でもメリットを感じますか?


鈴木さん:やっぱり夜間のオンコール対応を敬遠する人は多いです。次の日の業務もきつくなりますし…。その負担が無くなったことで、みんな安心して働けていると思います。

《 左から歌川さん、村本さん、鈴木さん 》

若い人が増えたことも大きいですよね。業務以外のことも含め、みんなで色々なことを話すようになりました。ギスギスした雰囲気もないです。


病院で働いている看護師にとって、介護施設のイメージって必ずしも良いものばかりではないと思うんです。転職を考える時も不安というか、少し怖いというか…。でもうちは人間関係も良好で、夜間に縛られることもありません。そうした口コミを広げられたことも良かったと感じます。


  −− 介護職の立場ではいかがですか?


村本さん:若い人が増えたのは私も嬉しいです。以前は看護師の方が偉い、というような上下関係があって…。利用者さんについて相談しても、「そんなことも分からないの」というきつい返しをされることもあったんです。


だから夜間のオンコールをするのも嫌でした。夜勤中は不安しかないという感じで、とにかく「何も起こらないで」と祈りながら働いていました。

《 左から歌川さん、村本さん、鈴木さん 》

  −− そうした状況が解消されたんですか?


村本さん:はい。夜間は「ドクターメイト」に、日中は同僚の看護師に頼れるようになり、ビクビクしたり緊張したりすることはなくなりました。些細なことでも気軽に相談できるって、すごくありがたい環境だと感じています。


歌川さん:夜間にオンコールをするのって、ものすごく気を使いますよね。もし相手に、「そんなことで電話してくるなっ」て思われたらどうしようとか…。そういうストレスから開放されるのが、やっぱり一番大きいと思います。気疲れがなくなればコミュニケーションが加速し、そこからサービスの質の向上を含めて良い循環が生まれるんです。


◆「今は皆すぐにオンコール相談」


  −−「ドクターメイト」の使い勝手はどうですか? ご利用者のことを普段から診ていない人に、適切なオンコール対応ができるんでしょうか?


村本さん:もちろん最初はそういう不安もありました。オンコールの相手は会ったこともない人ですし、利用者さんの日中の様子も知らないわけですから。


でも実際に使ってみると、相手もプロですから「バイタルは?」「顔色は?」と具体的に聞いてきます。こちらも伝えるべきことを伝えて、そこから考えられる状況をすぐに教えてくれるんです。1人の時より冷静になれますし、まず状況を整理できるところに安心感を持ちました。

《 左から歌川さん、村本さん、鈴木さん 》

難しい救急搬送の判断もしてくれるので、誰か1人だけに責任が集中することもありません。何も分からないまま焦って決めなくていいのは、本当に助かりますよね。今では少し不安になると、みんなすぐにオンコールで相談をするようになりました。対応が後手後手になることもないので、以前よりだいぶ良くなったなと感じます。


  −− 看護師の立場ではいかがですか?


鈴木さん:申し送りの効率化というメリットもあります。夜勤職員が「ドクターメイト」に相談すると、そのレポートをすぐにメールでもらえるんです。我々が翌日にそれを確認すれば、情報共有の手間も省けますよね。職員間の「言った」「聞いてない」なんてやり取りも生じません。月間のレポートも頂けるので、それは対策の検討などに役立てています。


歌川さん:今のレポートの話は、外国人職員のサポートにもなっているんです。外国人職員の中には、日本語での打ち込みや読み書きが苦手な方がいますよね。「ドクターメイト」ならその必要はありません。情報がある意味で機械的に、正しく伝わります。これならみんな安心ですし、外国人職員が増えていく今後も有効ではないでしょうか。


  −− 逆に施設の看護師の仕事が無くなったり、存在意義が薄れたりしませんか?


鈴木さん:いや、そんなこと全くありません。仕事は他にも沢山あるので…。心身の負担が減り、職員間のコミュニケーションが活発になってくると、今までできなかったことに挑戦する余力も出てきます。安心して働ける環境ができ、職員が集まってきているわけですから、やっぱり導入して良かったのかなと思っています。

《 左から歌川さん、中村さん(統括管理者)、村本さん、鈴木さん 》

  −− ありがとうございました。


◆「元々オンコール待機はトラブルのタネ」


こうした動きを有識者はどうみているのか。現場の取材で得た疑問をぶつけるべく、次に著名な介護経営コンサルタントの小濱道博氏(小濱介護経営事務所代表)を訪ねた。


ドクターメイトを使う介護施設が増えてきた背景は? 自施設にも看護師がいるのに、なぜ夜間のオンコール対応をあえてアウトソースするソリューションが関心を集めるのか?

《 小濱道博氏 》

  −− 介護施設の医療体制について、今どんな課題があるとみていますか?


例えば特養は、一般的に“終の棲家”と呼ばれていますよね。今後、介護施設はそうした役割をますます期待されていくことになるでしょう。国も看取り対応を促す加算を設けるなど、これまで必要な体制の整備を後押ししてきました。


ただ、それが必ずしも十分とは言えないのが実情ですよね。重度の利用者をしっかりケアできる体制を構築することが、当面の大きな課題と言えるでしょう。


  −− アウトソーシングで夜間のオンコール体制を作る施設が出てきています。


オンコールと言うと聞こえはいいですが、看護師らは「いつ呼び出されるか分からない」という負担を退勤後も感じることになります。それではちゃんと休めませんよね。

《 東京都内の介護施設で撮影 》

また、オンコールで待機している人が確実に対応できるとも限りません。寝てしまう時もあるでしょうし、なんらかの急な用事に対応している時もあるでしょう。その時に介護施設で緊急事態が生じれば、施設側が責任を問われるリスクもはらんでいます。


つまり夜間のオンコール対応は、職員の不満・不安やトラブルのタネになりやすいんです。これは離職の原因にもなる重大な問題と言わざるを得ません。看護師には横のつながりもあり、悪い噂が流れた施設は採用が一段と難しくなってしまいます。オンコール対応をアウトソースする施設があると聞きましたが、これらが背景要因ではないでしょうか。


  −− メリットはありそうですか?

《 小濱道博氏 》

仮にアウトソーシングで安定したオンコール対応が確保されるなら、施設側・職員側の双方にとって良いと思います。かゆいところに手が届く専門特化のサービスで、今の介護施設にとって非常に助かるのではないでしょうか。


介護職員が疑問や不安を感じた時に、信頼できる窓口へ気軽に相談することができる − 。これが本当に実現すれば、職場環境の改善やサービスの質の向上の面でプラスです。外部の知見を取り入れられること、人間関係の悪化を避けられることも大きいですね。オンコールの負担が軽減されれば、その余力を日中の加算の取り組みに振り向けることもできるようになるので、経営的なメリットも期待できるでしょう。


  −− ありがとうございました。


◆「職員の苦労や悩みに寄り添う環境を」


最後に業界全体のより大局的な動向と、その中で個々の現場が問われていることも把握したい。人材の採用・育成・定着の支援などで存在感を発揮している株式会社Blanketを訪問し、代表取締役の秋本可愛さんに話を聞いてきた。人材確保がますます難しくなっていく今後、事業者はどんなマインドセットで臨めばいいのだろうか。

《 株式会社Blanket 秋本可愛代表取締役 》

  −− 人手不足が深刻なのは今さら言うまでもないことですが、業界の最新動向をどう分析していますか?


事業者の2極化が進んでいるなと感じます。どこも厳しい状況にありますが、その中でも人材が集まっているところとそうでないところの格差が、以前よりはっきり表れるようになってきました。人手不足は業界をまたぐ社会全体の課題で、残念ながらそう簡単には解消されないでしょう。今後、こうした動きが更に加速していくとみています。人材戦略こそが介護事業の成否を分ける大きな要素になる、と考えています。


  −− どのような取り組みが求められますか?


そうですね、やるべきことは色々とあるのですが…。何か特別に難しいこと、突飛なことをする必要は必ずしもない、というのが私の考えです。例えば採用の担当者を選定したり、人材確保の計画をしっかり立てて実行したりと、基本的なことを堅実にやることがまずは重要ではないでしょうか。

《 株式会社Blanket 秋本可愛代表取締役 》

適切な給与水準の設定は重要ですが、条件面だけの勝負にはやはり限界があります。「ここに入ってみたいな」「長く働きたいな」と思ってもらえる情報発信、環境整備も不可欠だと考えています。


  −− 介護施設では夜勤があることがネックになる、という声もあります。


給与面のメリットもあるので、夜勤という働き方を望む人も少なからずいます。


ただ、心身の負担が非常に大きいことはやはり否めません。私も1人夜勤の経験があるので、そのことはよく分かるんです。特に介護施設は女性が多い職場ですから、妊活、妊娠、出産、子育てに伴う難しさもつきまといます。


もちろん、子育てや家族の問題に直面するのは女性だけではありません。夜勤職員の苦労や悩みに寄り添う環境を作ることは、職員の採用・定着を考えるうえでとても大切だと思います。

《 株式会社Blanket 秋本可愛代表取締役 》

  −− やはり職場環境の改善が1つのカギ、ということでしょうか?


職員が無理なくケアにあたれる環境をどう作っていくか、ということが非常に大切だと考えています。当然、これは夜勤だけに限った話ではありません。


今後、介護現場にはますます多様な人材が参画してくることになるでしょう。その中で事業者には、職員の安心・安全を担保していく努力が今以上に求められていくことになります。ICTやセンサーなどのテクノロジーを駆使した機器、サービスを活用していくことも、そうした観点から欠かせないと思います。


  −− ありがとうございました。


「ドクターメイト」には夜間のオンコール代行に加え、日中の医療相談を受け付けるサービスもある。今は有料老人ホームを全国で展開する民間大手も導入するなど、その活用事例がかなり拡大してきた。相談予約や資料請求、お問い合わせは次のリンクから。

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