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2025年5月21日

介護保険改革、全国を3地域に区分 課題山積のサービス体制の再構築 議論本格化

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《 社保審・介護保険部会|2025年4月撮影 》

厚生労働省は19日、今後の介護保険制度の改正を話し合う審議会(社保審・介護保険部会)を開催し、各地域でサービス提供体制を維持していく方策を俎上に載せた。【Joint編集部】

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4月にまとめた有識者会議の報告書を基に、全国を「大都市部」「一般市」「中山間・人口減少地域」の3つに区分する方針を改めて説明。高齢化の程度や介護ニーズ、地域環境、労働力などの違いを踏まえ、各地域の状況に合った施策をそれぞれ展開していく計画を明示した。


例えば「中山間・人口減少地域」では、事業所・施設の人員配置基準の緩和、訪問・通所を柔軟に組み合わせたサービスの提供、包括的な評価の仕組みの導入などを検討する考えを打ち出した。


原則、全国一律のルールで運営してきた介護保険を“地域軸”に根ざして弾力化する構想だ。ポスト2025年の戦略的な制度の転換という大きな意味を持つ。厚労省の関係者も「意欲的な改革」と表現する。


もちろん簡単ではない。この日の会合は、今後の制度改正・報酬改定に向けてこうした方向性で議論を深めることを確認するとともに、各委員が指摘した課題を共有する場となった。

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佐藤主光一橋大学国際・公共政策大学院教授は、「全国を3つに区分することは理解できるが、実際に境界線を引くとなると容易ではない」と指摘。認知症の人と家族の会の和田誠理事は、「受けられるサービスが異なるという地域間の不公平が生じるのではないか」と懸念を示した。


UAゼンセン日本介護クラフトユニオンの染川朗会長は、「人員配置基準を緩和しても、実際に現場で活用されなければ意味がない。本当に有効な施策なのか、慎重に検討してほしい」と要請。日本看護協会の山本則子副会長は、「人員配置基準の緩和は、ケアの質や職員の労働負荷の観点から慎重に検討する必要がある」とクギを刺した。


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