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2025年7月2日

【超重要】ケアマネのAI活用 大転換に必要な備えといま求められる姿勢=田中紘太

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《 株式会社マロー・サウンズ・カンパニー|田中紘太代表 》

介護の現場でAIを活用する時代が、いよいよ本格的に到来しようとしています。特にケアマネジメントの領域では、AIの導入によって業務の効率化が進み、ケアマネジャーの負担を大幅に軽減できる可能性が高まっています。【田中紘太】

私自身、居宅介護支援事業所の運営に携わる中で、その可能性を日々強く感じています。


しかし一方で、「AIの活用は極めて重要であると同時に、当面は丁寧に進めるべき」と考えています。便利なツールだからといって、準備を怠り、乱暴に全面的な導入を進めてしまえば、現場に混乱や不安をもたらすおそれがあるからです。


AIは、業務のあり方そのものを大きく変える力を持った技術です。だからこそ、その活用には慎重さも求められるのではないでしょうか。


◆ 説明責任・ガイドラインの整備


私たちの事業所では現在、AIの有効活用に向けたいくつかの取り組みを進めています。


まず重要だと考えているのは、ご利用者様への丁寧な説明です。AIを活用する以上、ご利用者様にその旨をきちんと伝え、ご理解をいただく責任があります。たとえば契約時点で、「我々はサービスの質の向上や業務の効率化のために、AIの有効活用を図っています」という説明を行う必要があると考えています。


現在、こうした説明の内容について弁護士と協議を重ねています。利用者情報の取り扱いに関する懸念、想定されるトラブルのリスクも視野に入れ、どのような表現が適切かを慎重に検討しています。安心してサービスを受けていただくためには、法的にも倫理的にも筋の通った説明が不可欠となります。

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次に、社内ガイドライン整備です。AIをどのような業務に、どのような手順で使うのか。そうしたルールやノウハウを整理し、職員全体で共有することを目指し、専門の検討委員会を立ち上げました。


活用方法にばらつきがあると、逆に混乱や業務の非効率を招きかねません。ガイドラインの策定と社内への浸透は、AI導入を成功させるうえで重要なステップだと考えています。


また、保険者である市町村との対話も欠かせません。介護保険制度の中で動く私たちの業務は、行政との信頼関係が土台となります。私たちのAI活用がどのような意図で、どのように進められているのか。これをしっかりと伝えることで、行政にも安心していただけるのではないでしょうか。


もちろん、リスク管理も徹底しなければなりません。AIにご利用者様の個人情報を利用させない「オプトアウト設定」は必須です。情報漏えいのリスクを最小限にとどめるためにも、まずはこのような前提条件を確実に整えたうえで、段階的に活用範囲を広げていくべきでしょう。

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◆ 幅広い視点を考慮して


活用イメージを持てない職員には、まず使ってみることが重要だと呼びかけています。たとえば簡単な相談をAIに投げてみるだけでも、利便性を実感することができるでしょう。少しずつ使い方に慣れ、職員の中の理解と納得感を育んでいくことが、職場にうまく浸透していく結果につながると感じています。


これからAIが、ケアマネジメントの実践を様々な面で支えてくれる極めて有力な、かつてない存在となるのは間違いありません。しかし、それだけに話は重要です。私たちケアマネジャーの社会的責任、ご利用者様の安心・安全、保険者との信頼関係の維持など、幅広い視点を考慮して向き合わなければいけません。


技術の進化は止められません。だからこそ私たちは、制度や倫理、現場感覚とのバランスを取りながら、注意深く準備を進めていく必要があると考えます。AIの活用がもたらす未来を前向きに見据えつつ、「丁寧に」「慎重に」「確実に」歩みを進めていくこと。それが今、私たちに求められている姿勢ではないでしょうか。


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