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2025年9月30日

【田中紘太】ケアマネ試験の受験資格、ヘルパーを再度対象に 福祉用具専門相談員も

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《 株式会社マロー・サウンズ・カンパニー|田中紘太代表 》

今回は、ケアマネジャーの資格試験(介護支援専門員実務研修受講試験)の受験要件を考えたいと思います。【田中紘太】

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厚生労働省は昨年末にまとめた検討会の報告書に、この受験要件について「新たな資格の追加」や「必要な実務経験年数の見直し」を明記しました。


では具体的にどうするか。現在は徐々に議論を詰めるフェーズに入っています。足元の厳しい状況を踏まえ、人材確保の効果がしっかりと現れる見直しを期待します。


◆ 基礎資格の違いは大きくない


結論から言うと、私はホームヘルパー(初任者研修修了者)にも受験資格を与えたほうがよいのではないかと思っています。2018年度に実施された厳格化の前の形に戻すことが、人材確保の観点から効果的ではないでしょうか。あわせて、福祉用具専門相談員にも門戸を開くことを提案します。


例えば、受験要件に含まれる医療系の資格をさらに広げることも一案でしょう。ただ、医療系の方々の場合、相談援助を主軸とするケアマネジャーの仕事にどこまで関心を持っていただけるのでしょうか。人材確保の効果という意味で、必ずしも十分な施策にならないと懸念しています。


現在、ケアマネジメントの現場の主流は介護福祉士の出身者で、看護職の出身者がそれに続きます。在宅ケアの現場感覚を持ち、利用者・家族の生活文脈をよく理解した人材が、居宅介護支援の中心的な役割を担っているのが実情です。こうしたキャリアパスを改めて開くことが、人材の量・質の両面で合理的だと考えます。


ヘルパーや福祉用具専門相談員に受験資格を与えると、ケアマネジャーの「質が下がるのでは」という懸念を抱く方もおられるようです。ただ、現場の実感としては過度な心配は不要だと思います。


入り口資格の違いで、就業後のパフォーマンスの質に決定的な差は生じません。法定研修やOJTなどで十分にフォローできるでしょう。門戸を狭くし、ケアマネジャーの仕事に関心を持つ貴重な人材を遠ざけてしまう方が、デメリットが大きいのではないかと感じます。

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◆「入り口を広げる × 育成を磨く」


あわせて、受験要件の実務経験年数は現行の5年から3年に短縮することが妥当でしょう。そもそも、5年という期間の設定に強固なエビデンスがあるわけではないようです。そうであれば、ケアマネジャーを志向する人材を早期に学習曲線に乗せ、試験後の研修で質を底上げする方が生産的です。


国は現在、オンデマンド化・標準化も含めて研修の質をさらに高める方針を示しており、これは非常に重要な取り組みです。入り口を広く取り、育成に磨きをかける。この二段構えで、人材の量と質を同時に引き上げる施策が有効だと考えます。


2018年度の受験要件の厳格化から月日が流れ、現場の状況も大きく変わりました。地域によって度合いは異なりますが、ケアマネジャーの不足が全国的に深刻化してきており、今後さらに厳しくなっていく見通しです。

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今こそ、資格の入り口を再考すべき時ではないでしょうか。


在宅ケアの経験を持った人材、モチベーションを持った人材に扉を大きく開く。足りない部分は研修でしっかりとサポートし、応援していく。


これが現実的で、人材確保に効く方向性だと考えます。ヘルパーと福祉用具専門相談員にも、ケアマネジャー試験の受験資格を与えるべきではないでしょうか。


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