

高齢化が加速する中で重要性が高まっている有料老人ホームのあり方を話し合う検討会で、厚生労働省は3日、これまでの議論を整理した報告書の素案を提示した。【Joint編集部】
住宅型ホームの「囲い込み」を是正する施策の一環として、自治体が実態をより容易に把握できる環境を整備する方針を示した。
ホームが居宅介護支援事業所、介護サービス事業所と提携する場合に、その提携状況を前もって行政に報告・公表するよう求めていく考えを打ち出した。運営の健全性を行政がチェックしやすい仕組みを作り、透明性の確保や適切な指導・監督につなげる狙いがある。
厚労省はパブリックコメントの意見募集を経て、今秋に検討会の報告書をまとめる予定。それを審議会に報告し、制度改正を具体的に進めていく計画だ。
今回の素案には、高齢者が入居する際に居宅介護支援事業所が保険者に連絡票を届け出ることで、ホームと居宅介護支援事業所の情報をひも付けることも盛り込んだ。
また、ホームの運営法人と居宅介護支援事業所、介護サービス事業所の運営法人が同一・関連の場合について、ホーム事業の会計と介護サービス事業の会計を分離・独立して公表するよう求め、それぞれの収支を確認できるようにする意向も示した。
「囲い込み」の対策ではこのほか、高齢者が入居する際のルールの厳格化も図る。契約にあたり、ホームと提携関係のある居宅介護支援事業所の利用を条件とすること、これを利用する場合に家賃を優遇するなどの条件を設けること、ケアマネジャーの変更を強要することなどを禁止する方針を掲げている。