厚生労働省は16日、障害福祉サービスの報酬や基準などを議論する有識者会議を開き、来年度の臨時改定で就労継続支援B型の基本報酬の算定基準を見直す案を提示した。【Joint編集部】
基本報酬の区分を決める「平均工賃月額」の基準ラインを引き上げ、膨張する費用の抑制を図る。来年6月から施行する。
厚労省は昨年度の報酬改定で「平均工賃月額」の算定式を変更。障害の特性などで利用頻度が低い利用者らを多く受け入れる事業所に配慮し、「平均利用者数」を分母に用いる新たな方法を導入した。
この結果、全国の「平均工賃月額」は約6000円上昇。より上位の区分の基本報酬を得る事業所が増加することになった。
厚労省は有識者会議で、「算定式の見直しの意図と異なる形で、上位の区分の事業所が増加した」と説明。現行の算定式は維持したまま、基本報酬の区分を決める「平均工賃月額」の基準ラインを引き上げてはどうかと提案した。
具体的な引き上げ幅については、「平均工賃月額」の上昇分の半分程度(約3000円)とする案を例示した。
激変緩和措置も講じる。昨年度の報酬改定の前後で区分が上がっていない事業所は、来年度の基準ラインの引き上げを適用しない。区分7と8の間の基準ラインは据え置く。新たに区分が下位に移ることになる事業所についても、「報酬単価ベースの減収幅が数%以内など、その影響が一定の範囲内に収まるよう配慮する」とした。
会合では委員から、「昨年度の報酬改定の意義が薄れるのではないか」「国の基準が頻繁に変わると事業の継続性に影響が及ぶ」といった声が上がった。「良心的な事業者とそうでない事業者がいるなか、一律の対応でいいのか」との意見も出た。
厚労省は今後さらに調整を進め、来年度の臨時改定の大枠を年内に固める方針。










