2023年11月10日

政府、介護職の月6千円賃上げを閣議決定 専門家から追加策を求める声 「この額で人材流出は止まらない」

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(首相官邸)

政府は10日、新たな経済対策の裏付けとなる今年度の補正予算案を閣議決定した。【Joint編集部】

来年2月から介護・障害福祉職員の給与を平均で月6000円引き上げる方針も盛り込んだ。その財源として490億円を計上している。


介護職員の不足が深刻化していることを踏まえた措置。ただ、必要な人材を確保するためには規模が不十分という声もある。専門家に考えを聞いた。


東洋大学の高野龍昭教授は、「介護職員の処遇改善は、ここ10年ほどにわたる国の累次の施策で一定の進展がみられた。しかし、昨年来の他産業での賃上げに伴い、その処遇改善が相対的に帳消しされた形となり、介護分野からの人材流出の報告も多くなっている。更なる処遇改善は不可欠であり、それを早急に政策化することが重要だ」と指摘。「月額6000円という金額は、現場にとっては物足りないという感が否めないだろう。ただ、財政規模がさほど大きくない補正予算案の中で、政府が介護職員の処遇改善のための費用をひとまず確保した姿勢は評価できる」と述べた。

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また、淑徳大学の結城康博教授は、「政府の対応は評価できる。ただ、これで今の介護業界からの人材流出に歯止めがかかるかというと、残念ながらそうではないと言わざるを得ない」と主張。「焦点は来年度の介護報酬改定に移る。ここで更なる賃上げ、基本報酬の引き上げを打ち出せなければ、介護業界への評価はむしろ下がってしまう。期待外れの感が高まり、人材流出が更に進んでしまうのではないか。今回の6000円増で終わる、というのが最悪のシナリオ。次の改定で追加策を打つことが絶対条件となる」と話した。


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