2025年5月27日
介護保険の給付範囲の縮小を 財政審が検討を要請 利用者負担の引き上げなど提言


「一層の緊張感を持って財政運営に臨む必要がある」とくぎを刺した。介護分野への言及も忘れず、保険給付の範囲の縮小も検討すべきと持論を展開した。【Joint編集部】
財務省の財政制度等審議会は27日、これまでの議論をまとめた提言(建議)を政府へ提出した。
今回のタイトルは、「激動の世界を見据えたあるべき財政運営」。国際社会が変わりゆく中で、日本経済を取り巻く環境もまた厳しさを増しているとして、財政健全化の重要性を次のように強調した。
「世界が揺れている今こそ、緊張感を持って正しい選択をしていくことが求められている」
介護分野をめぐっては、利用者負担の引き上げが目玉の1つに掲げられている。
財務省は提言の中で、2割負担の対象者の範囲を早急に拡大すべきと重ねて主張。1割負担の対象者が多い現状を改め、“原則2割”とすることも視野に入れて検討を進めるべきとした。
また、居宅介護支援のケアマネジメントにも利用者負担を導入すべきと注文した。
要介護1・2の訪問介護・通所介護を市町村の事業へ移管すること、まずは生活援助から段階的に移すことの具体化も要請。「人材や財源には限りがある」「小さなリスクはより自助で」などの見解を示した。
◆ 決着は年末、紆余曲折も
こうした施策の是非は、政府の経済財政諮問会議でも俎上に載せられている。
諮問会議の民間議員は26日の会合で、次の介護保険改正に向けた議論が今年末に山場を迎えることを念頭に、「年内に確実に結論を得るべき」と促した。
今後、この長引く懸案はどのような帰結をたどるのか。政治決着までの道のりは曲折が予想され、夏の参院選の結果も少なからぬ影響を与えそうだ。