介護福祉士国試、今年度から大幅変更 初の「パート合格」導入 厚労省が正式通知 Q&Aも公表


介護福祉士の国家試験のルールが大幅に変わる。厚生労働省は今週、複数の科目ごとに合否を判定する「パート合格」の導入を正式に通知した。今年度の試験から適用する。あわせて、現場の疑問に応えるQ&Aも公表した。【Joint編集部】
通知によると、介護福祉士国試の科目を3つのパートに分割したうえで、それぞれの合否を判定する(*)。すでに合格したパートについては、翌年・翌々年の2年間に限り再受験を免除する。例えば初年度に1パートのみ不合格となった場合、次年度はその1パートのみを再受験すればよい。
* 全パートを受験した場合は総得点で合否を判定し、結果が不合格だった際はパートごとに合否を判定する。
試験は年1回、1日で全パートを実施する。初回の受験では全パートが必須となるが、不合格となった際は翌年以降、不合格パートのみを受験するか、再び全パートを受け直すかを選べる。合格済みのパートを再受験して合格すれば、そのパートの有効期限を延長できる仕組みだ。
※ 介護福祉士国試の「パート合格」の通知・Q&A・資料はこちらから。
1年ごとに1パートずつ合格していけば、段階的に3年間で資格を取得できる。パート合格の有効期限が切れた場合、そのパートは再受験しなければならない。
背景には国試の受験者数の低迷、深刻な人材不足がある。厚労省は、働きながら資格の取得を目指す人の負担を軽減することで、介護現場を牽引する専門職の確保につなげたい考えだ。今回の通知では、「ひとりひとりの状況に応じた学習の選択肢が拡大され、より受験しやすい仕組みになる」と説明した。
通知とセットで示されたQ&Aでは、主な疑問点への回答が整理されている。
例えば、一部パートの合格者は国家資格としての介護福祉士ではないため、事業所・施設の人員配置基準や報酬加算の対象には含まれない。また、パートごとの合格率は公表されず、従来どおり全パートの合格率のみが発表される。
厚労省は今後、制度の安定運用に向けて受験申込書の様式を変更し、受験者が全パートか一部パートかを選択できる環境を整備する。受験手数料については、受験パート数にかかわらず一律(1万8380円)とする。