ケアプランデータ連携システム、新たな「介護情報基盤」と統合へ 厚労省方針


厚生労働省は6月30日、介護現場の負担軽減に向けて整備した既存のケアプランデータ連携システムについて、来年度以降に稼働し始める「介護情報基盤」と統合する方針を固めた。【Joint編集部】
社会保障審議会・介護保険部会で提案し、委員から大筋で了承を得た。
厚労省が構築を進めている「介護情報基盤」は、事業所・施設、医療機関、自治体、利用者といった関係者が、それぞれ必要な情報をいつでも引き出せる新しいインフラ。紙ベースの業務をDXで効率化し、職員の事務負担の軽減や情報共有の迅速化、サービスの質の向上につなげることを目的とする。
一方のケアプランデータ連携システムは、居宅介護支援事業所と他の介護サービス事業所とのケアプランや利用票などのやり取りを、オンラインで安全に効率化する仕組み。厚労省によると、今年5月末時点で全国の事業所の利用率は7.2%となっている。
厚労省は審議会で、この2つのシステムを統合する方針を打ち出した。
システムが分かれていると、Webで双方を行き来する手間がかかって効率が悪い。運用保守も含めて二重の経費を要し、コスト面の無駄も膨らんでしまう。システムを統合すれば介護現場の利便性が上がるほか、国はランニングコストの軽減につなげることができる。
ケアプランデータ連携システムが統合された「介護情報基盤」の運用は、来年度以降、準備が整った市町村から順次始まる見通し。厚労省は今回、2028年4月1日までに全ての市町村で運用を開始できるようにしたいと説明した。
◆ 現場から無料化を求める声
会合では委員から、ケアプランデータ連携システムの無料化を求める声があがった。
日本介護支援専門員協会の小林広美副会長は、ケアプランデータ連携システムの1年間の無料キャンペーンが6月から始まっていることを踏まえ、「介護情報基盤との統合まで無料化を継続し、ケアプランデータ連携システムへの早期の加入を後押ししてほしい。介護情報基盤への統合後も無料とするようお願いしたい」と要請。民間介護事業推進委員会の山際淳代表委員も、「無料期間の継続、システム統合後の無料化が必要」と呼びかけた。
厚労省の関係者は会合後、介護現場の負担軽減に向けて「今日の委員の意見を踏まえ、財政当局としっかり議論していく」と述べた。