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2025年9月3日

来年度の介護費、予算ベースで14.3兆円 厚労省 制度改正の議論が今秋から本格化へ

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《 画像はイメージ 》

厚生労働省は8月末に財務省へ提出した来年度予算の概算要求に、介護保険制度の運営に不可欠な経費を例年通り盛り込んだ。【Joint編集部】

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来年度の介護保険の給付費を13兆2659億円と想定。これに高齢者の自己負担などを加えた総費用は、14兆3229億円にのぼると見込んでいる。


厚労省は給付費の国庫負担金として、概算要求で今年度の当初予算より13億円多い3兆3413億円(*)を計上した。

* 地域支援事業分は含まない。介護給付費の国庫負担金、調整交付金、第2号保険料の国庫負担金(補助)などをあわせた額。

介護保険の給付費は、40歳以上の保険料で50%、公費で50%を賄う仕組み。公費の内訳は、国が全体の25%、都道府県が12.5%、市町村が12.5%となっている。


来年度の給付費と総費用は、いずれもあくまで予算ベース。実績は上下に変動する。厚労省は8月28日、2023年度の給付費が前年度から3163億円(3.0%)増えて10兆8263億円となり、過去最高を更新したと発表した。

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給付費の膨張は高齢化の進展、とりわけ75歳以上の人口の増加が最大の要因。介護ニーズがさらに拡大する今後も続く見通しだ。


厚労省は今秋から年末にかけて、2027年度に控える次の介護保険改正に向けた議論を深める。高齢者の自己負担の引き上げ、ケアプランの有料化に加え、軽度者に対する訪問介護と通所介護、中でもヘルパーの生活援助を市町村の事業に移すことの是非などが論点だ。


このほか、介護職の賃上げをいかに実現させるかも大きな焦点となる。


給付費の無理な抑制は、サービスの利用控えや介護離職の増加、介護現場の一層の疲弊など深刻な悪循環を生み出す。必要なサービスを提供するための財源をどう確保するか、税や保険料などの負担をどう分かち合うかが大きな課題となっている。


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