【村上久美子】ケアプラン有料化に断固反対 介護保険制度の理念に反する
介護保険制度の居宅介護支援のケアマネジメントは、利用者が安心して暮らし続けるための重要な基盤である。現在、厚生労働省の審議会(社会保障審議会・介護保険部会)では、ケアマネジメントにかかる給付のあり方をめぐり、幅広い利用者に自己負担を求める案が議論されている。【村上久美子】
これに先立ち、私たちUAゼンセン日本介護クラフトユニオン(NCCU)は、介護現場のケアマネジャー455人を対象にアンケートを実施した。
その結果、現行の10割給付を「維持すべき」との回答は71.9%に上り、自己負担を「導入すべき」との回答はわずか1.8%、「所得に応じた配慮があれば導入すべき」との回答は14.9%にとどまった。
10割給付の維持を求める理由として、特に多かったのは次の2点である。
第1に、負担増によるサービス利用の抑制である。年金収入だけで生活している高齢者は多く、自己負担が増えれば「利用したくてもできない」状況が生じやすくなる。経済的に困窮する人ほど取りこぼされる危険があり、制度の公平性が損なわれる。
第2に、ケアマネジメントの公正・中立性の担保が困難になることである。自己負担が加われば、「公正性が薄れる」「権利意識が強まり自立支援につなげにくくなる」との懸念が示されている。ケアマネジメントは利用者本位でなければならず、自己負担がそのバランスを崩す可能性がある。
これまでケアマネジメントに自己負担が導入されなかった理由について、「サービスを国民へ十分に周知するため」という見解もある。しかし、制度創設時に10割給付とされた本質的な理由は、ケアプラン作成が介護保険制度の根幹であり、利用者が積極的にケアマネジメントを利用できるようにするためである。
介護給付費は2024年度に約12兆円へと膨張し、過去最高額を更新した。こうした状況を背景に、ケアマネジメントの有料化は「財政健全化」の名目で議論されている。
しかし、利用者の負担増による利用控えが進めば、介護状態の重度化や医療費の増大を招き、むしろ費用は増加する可能性が高い。これは、制度の持続可能性を高めるどころか逆効果となりかねない。
私たちは自己負担の導入に反対する。ケアマネジメントの本来の趣旨を逸脱するような制度改正は、公平性・公共性・持続可能性のいずれの観点からも制度の理念に反し、あってはならないと考える。









