「極めて遺憾」「ツケは将来世代に」 介護保険改正、負担増の見送りに審議会で不満の声
社会保障審議会・介護保険部会は昨年12月25日、2027年度に控える次の制度改正の方向性を描いた意見書を取りまとめた。【Joint編集部】
2割の利用者負担を徴収する対象者の拡大や軽度者への給付の縮小など、焦点となっていた介護費の抑制につながる主要な論点は軒並み「継続検討」とされ、結論は来年度以降に先送りされた。
こうした判断は介護現場の関係者の声をくみ取ったものでもあり、会合では歓迎の声が上がった。その一方で、制度の持続可能性の確保を重視する委員からは厳しい発言が相次いだ。
健康保険組合連合会の伊藤悦郎常務理事は、結論の先送りを受けて「極めて遺憾だと言わざるを得ない」と不満を表明。日本商工会議所・社会保障専門委員会の幸本智彦委員も、「問題を先送りしても事態は好転しない。そのツケは負担の増加など厳しい形で現役世代、将来世代に確実に回っていく」と危機感をあらわにした。
また、全国健康保険協会の鳥潟美夏子理事も「先送りは非常に残念」と述べた。
今回の意見書には、2割負担の対象拡大について「第10期介護保険事業計画期間の開始(2027年度から)の前までに結論を得る」との期限が明記されている。複数の委員がこれを単なる努力目標で終わらせず、必達のデッドラインとするよう釘を刺した。
幸本氏は「これ以上先送りしないことを明確化していただきたい」と要求。伊藤氏も、今後の詰めの議論に向けて「(対象拡大などを)確実に行っていただくよう強く要望したい」と迫った。
最後に部会長を務める早稲田大学法学学術院の菊池馨実教授が議論を総括。「社会保障の様々な分野で議論に関わってきたが、介護保険は特に議論が難しい分野だと感じる」と語った上で、費用の拠出者(主に現役世代)と給付の受給者(主に高齢者)が分かれている構造上、「世代間の対立が生じやすい」との見方を示した。
その上で、「連帯や支え合いを実現していくためには、他の社会保障制度よりも一段と深い共通了解の醸成が必要だ」と指摘。足元で少子化が急速に進んでいる現実を念頭に、「関係者が深い知恵を出し合って、制度に関係する方々が置かれた現状を十分に踏まえつつも、将来にわたって持続可能な制度としていくための改革を今から少しずつ重ねていくしかない」と締めくくった。












