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2026年1月19日

介護報酬の臨時改定、審議会が了承 処遇改善加算の複雑化に不満の声 基本報酬アップを求める委員も

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《 厚生労働省 》

介護報酬を議論する審議会(社会保障審議会・介護給付費分科会)は16日の会合で、来年度の臨時改定の内容を了承した。【Joint編集部】

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今回の目玉は幅広い介護従事者を対象とした賃上げだ。委員からは、人材難の深刻化を受けた臨時改定での対応を評価する声が上がった一方で、介護報酬の体系が一段と複雑になることへの懸念が示された。また、小規模な事業所にも配慮した持続可能な経営環境の整備を求める意見が相次いだ。


今回の賃上げのスキームは、事業所の取り組みに応じて加算率が上乗せされる積み上げ型の重層構造になった。既存の処遇改善加算の上位区分に、「加算Ⅰロ」「加算Ⅱロ」という新たな区分が創設される。


すべての区分の加算率が月額1万円分引き上げられるほか、介護現場の生産性向上や協働化に取り組む事業所を対象として、さらに7千円分が上乗せされる設計だ。新設される上位区分の要件としては、「ケアプランデータ連携システム」への加入や「生産性向上推進体制加算」の取得などが求められる。事業所の事務負担に配慮し、申請時点では要件対応の「誓約」のみで算定可能とする特例措置も設けられる。


あわせて、処遇改善加算の対象が従来の「介護職員」から「介護従事者」に拡大される点も大きな変更点だ。居宅介護支援や訪問看護、訪問リハビリテーションなども、新たに処遇改善加算の対象サービスに加えられる。

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◆「加算、加算ではなく基本報酬を」


審議会の意見交換では、制度の複雑さが小規模な事業所を追い込むことになるという懸念の声や、2027年度の定期改定に向けた一層の支援を求める声などが上がった。


認知症の人と家族の会の志田信也副代表理事は、「加算の区分・段階が大変複雑になり、事業所がきちんと取得できるのか心配だ」と不安を口にした。その上で、小規模も含むすべての事業所が加算を十分に取得できるよう、厚労省に対し丁寧な支援を求めた。


また、全国知事会を代表する立場で参加している長崎県の大石賢吾知事(参考人が代理発言)は、「ケアプランデータ連携システムや生産性向上推進体制加算は、いずれも現時点で十分に普及していない」と指摘し、国による一層の支援が必要だと促した。

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全国市長会を代表する立場で参加している大阪府豊中市の長内繁樹市長は、昨年1年間の訪問介護事業者の倒産件数が過去最多を記録したという調査結果に触れつつ、「処遇改善加算を拡充したとしても、基本報酬が減額された状態では、地域のサービスを支える小規模な事業所の存続が危ぶまれることは明らか」と問題を提起。「2027年度の定期改定にあたっては、こうした事業所が持続的・安定的に運営できるよう適切な報酬を設定してほしい」と要請した。


NPO法人高齢社会をよくする女性の会の石田路子副理事長は、「加算、加算ではなく基本報酬が上がらなければ、多くの事業所は課題が山積したままになる」と指摘。2027年度の定期改定に向けて、各サービスの基本報酬の大幅な引き上げを目指すべきだと訴えた。


今回の処遇改善加算の拡充が実施されるのは今年6月。厚労省は今後、各種通知やQ&Aの発出など臨時改定の施行に向けた準備を進める構えだ。


その後、基本報酬の引き上げを含むより抜本的な支援策が実現するのかどうか ー 。関係者の視線は早くも、2027年度の定期改定に向けた駆け引きに注がれ始めている。


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