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2026年2月2日

【小濱道博】介護職の賃上げ補助金、申請漏れに要注意 情報収集と事前準備に万全を

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《 小濱介護経営事務所|小濱道博代表 》

1,補助金申請の危機的状況


昨年12月25日に厚生労働省から発出された介護保険最新情報Vol.1454により、介護分野で働く職員の賃上げを支援する新たな補助金の詳細が明らかになった。【小濱道博】

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この補助金では、要件を満たせば月額最大1万9千円相当の賃上げ原資が得られる。しかし、見過ごすことのできない重大な問題が存在している。それは、都道府県ごとに申請の締切日が大きく異なり、しかも多くの都道府県で具体的な締切日がまだ公表されていないという事実である。


2,既に締切が迫っている地域がある


今年1月末時点で、一部の都道府県では既に申請期限が目前に迫っている。秋田県のスケジュールAでは、申請受付期間が1月13日から1月23日までとされており、わずか11日間しか申請期間がなく、すでに終了している。この期間を逃した事業者は、スケジュールBに回ることになるが、それでも2月27日が締切である。


福岡県でも、最も早いスケジュールでは2月12日が締切となっている。滋賀県の第一次申請は2月4日午後5時が締切である。


そして大阪府では、1月29日に交付要綱と申請様式が公開され、2月1日から申請受付が開始される。3月末までの支給を希望する場合の締切は2月16日である。4月以降の支給でよい場合でも、締切は4月30日となっている。大阪府は事業所数が多い都道府県であるため、この締切を見逃した場合の影響は極めて大きい。


これらの都道府県で事業所を運営している法人は、既に申請準備に取りかからなければ、締切に間に合わない可能性が高い。

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3,多くの都道府県で締切が未公表


さらに深刻な問題は、多くの都道府県で具体的な申請締切がまだ公表されていないことである。東京都、愛知県、神奈川県、北海道、兵庫県といった大都市圏を含む多数の地域では、1月末時点で「準備中」「詳細は随時更新」という状態が続いている。


これらの都道府県では、補助金のページは既に開設されているものの、肝心の申請期限や提出方法の詳細が示されていない(あくまで1月末時点)。事業者は、いつ締切が公表されるか分からない状況で、都道府県のホームページを毎日確認し続けなければならない。仮に締切が突然公表されたとしても、準備期間が十分に確保されているとは限らない。


4,都道府県間の対応格差が生む混乱


都道府県ごとに締切が異なるだけでなく、申請スケジュールの組み方も大きく異なっている。福岡県のように3つの異なるスケジュールを用意し、事業者が補助金の交付時期を選択できる仕組みを採用している都道府県がある一方で、単一の締切のみを設定している都道府県もある。


滋賀県では第一次と第二次に分けて申請を受け付け、第一次は3月中の補助金交付を想定している。しかし、第一次申請では基準月が昨年12月に限定されるなど、細かな条件が設定されている。こうした違いは、複数の都道府県で事業を展開している法人にとって、事務作業の複雑化と負担増を意味する。


提出方法についても、都道府県ごとに異なる対応が取られている。滋賀県ではオンラインでの電子申請のみを受け付け、郵送は不可とされている。一方、他の都道府県では郵送や持参も認められている場合がある。こうした手続き上の違いも、事業者の混乱を招く要因となっている。

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5,今すぐ情報収集と準備の開始を


この危機的な状況を乗り越えるために、介護事業所の経営者や管理者が今すぐ取るべき行動がある。まず第1に、都道府県のホームページを確認し、補助金の申請ページをブックマークすることである。そして、少なくとも週に一度は更新情報をチェックする体制を整える必要がある。


第2に、基準月である昨年12月の介護報酬額や処遇改善加算の算定状況など、申請に必要となる基礎情報を今のうちに整理しておくことである。締切が公表されてから準備を始めたのでは、間に合わない可能性が高い。事前に準備を進めておけば、締切が発表された直後に速やかに申請できる。


第3に、厚生労働省が設置しているコールセンターや都道府県の担当窓口に、積極的に問い合わせることである。ブレーンとして契約しているコンサルタントや社会保険労務士などの専門家がいれば最大限に活用すべきだ。不明な点があれば躊躇せずに確認し、確実な申請を目指すべきである。


6,危機意識を持った対応が求められる


今回の補助金は、介護職員の処遇改善という重要な目的を持った制度である。しかし、都道府県ごとに異なる締切設定や情報公表の遅れという運用上の問題により、本来受け取れるはずの補助金を逃してしまうリスクが現実のものとなっている。


この状況は、個々の事業所の努力だけでは完全には解決できない構造的な問題でもある。しかし、だからといって手をこまねいているわけにはいかない。経営者や管理者は、この制度の持つリスクを正しく認識し、情報収集と申請準備に万全を期す必要がある。職員の処遇改善と事業所の持続的な運営のために、今こそ危機意識を持った対応が求められている。


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