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2026年2月7日

【石山麗子】ケアマネ資格の更新制廃止、見切り発車は混乱を招く 突貫工事ではなく入念な設計を

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《 国際医療福祉大学大学院・石山麗子教授 》

今後の制度改正をめぐる議論を重ねてきた国の審議会の意見書に、改革の構想が盛り込まれました。ケアマネジャーの資格は、更新の仕組みが廃止され、法定研修の見直しも行われます。


実はその実施にあたって、想像を絶するような仕組みの再構築や新たな運用に向けた準備作業が生じることは、これまでほとんど語られておらず、多くの人がその実情を知りません。【石山麗子】

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更新制の廃止や研修の分割受講については、「いったいいつ施行されるのか」「早ければ早いほど良い」と期待が高まっていると思われます。


ところが、新たな仕組みはそう簡単にできるものではありません。構築プロセスは極めて複雑です。また、誰が費用を負担するのか、個人情報をどこまで共有するのかなど、検討事項は山積しています。


もちろん、これらは国や都道府県が整理すべきことが大半でしょう。しかし、十分な準備期間を設けることができない状況となれば、つまり施行を急かすような環境をつくるなら、新たな仕組みは突貫工事の見切り発車とならざるを得ません。結果として、混乱のしわ寄せを受けるのはケアマネジャーと事業所だとみています。


更新研修について、概ね5年の間に、科目ごとに好きな時間で、オンデマンド受講の方法も含めた柔軟な受講形態となれば、現在のように課程を一括で受講していた時の束縛感はなくなるでしょう。


一方で、確実な受講管理が必要となります。誰が管理するのでしょうか。


資格は個人が有するものであり、個人が責任をもって管理することが原則です。そのため、一人ひとりの受講状況を管理するシステムが必要となります。


資格は一生ものですから、一人の介護支援専門員につき1アカウントで、一生使えるシステムでなければなりません。既に合格者が81万人以上いる中で、誰が運用し、費用を払い続けるのでしょうか。

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ケアマネジャーの中には、都道府県を越えて引っ越しし、他県で研修を受講する人もいます。このため、一つの都道府県だけで管理の仕組みは完結しません。都道府県が使用する研修受講管理システムは、全国で使用できるものでなくてはなりません。


調査結果によれば、都道府県のシステム導入状況は、導入済みの都道府県と未導入の都道府県が、ほぼ半数ずつとなっています。また、システムを導入している都道府県は約半数あるものの、使用しているシステムの種類はバラバラです。新たに全国一律のシステムを導入する以上に、事態は複雑で難易度が高いと言えます。


オンデマンド受講が増えることで、研修を受講した事実をどのように確認するのかという課題も生じます。ただ動画を流しているだけで受講したことにしている人に対しても、研修実施機関は受講証明を発行してよいのでしょうか。それでは、真面目に受講した人との公平性が保てません。


何より、質の向上という観点から見ても無意味です。単なる受講の事実ではなく、受講によって得た知識の水準を確認するため、科目ごとの修了時テストを導入することも考えられます。ただし、仮に複数パターンのテスト問題を作成したとしても、解答集を作成し、SNSで拡散する人が出てくる可能性も否定できません。


更新研修の受講は、ケアマネジャーとして従事していない期間は免除されます。しかし、都道府県が個人の就職や退職の時期をリアルタイムで把握することはできません。


誰が、いつの時点で、どのような方法で、どこに届け出を出すのか。手続きが漏れることでトラブルが生じる可能性があります。一方で、事務手続きが負担だという声が上がることも想定されます。

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厚生労働省は、ケアマネジャーに対して今後も定期的な研修受講を求めるとともに、雇用する事業者に対しては、研修を受講しているケアマネジャーを配置することを求めていく可能性が高いでしょう。確実な研修受講管理は、事業者にとっても不可欠です。都道府県にとっても、指導のエビデンスとして欠かせません。


このように、研修受講管理が正確に行われる仕組みが確立されることが、最低限の基盤となります。そのほかにも、分割受講を可能とする科目の選定、全国一律の動画やテキストの作成、それを踏まえた各都道府県による法定研修見直しの判断、講師やファシリテーターの養成、受講者向けの事前学習シートや説明書の作成など、多くの工程が残されています。


早期施行を望む声はありますが、確実に仕組みを構築するための十分な時間が確保されなければ、多くの混乱が生じることを、関係者全体で共有しておく必要があります。


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