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2026年3月4日

老施協・大山会長、介護施設の基本報酬の「大幅な引き上げ」を強く要請へ 2027改定へ決意

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《 全国老人福祉施設協議会・大山知子会長 》

介護現場の窮状を踏まえ、政府は来年度に介護報酬の臨時改定に踏み切る。介護職員の処遇改善加算を拡充し、最大で月額1.9万円の賃上げを行う。あわせて、物価高騰にあえぐ介護施設の食費の基準額(基準費用額)を1日100円引き上げる。【Joint編集部】

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もっとも、危機に瀕している介護現場の状況は今なお好転しておらず、先行きへの不安も依然として拭いきれないままだ。全国老人福祉施設協議会の大山知子会長に、来年度の臨時改定の受け止めと2027年度の定期改定に向けた決意を聞いた。インタビューの主な一問一答は以下の通り。


◆ 臨時改定は「不十分」


  −− 来年度の臨時改定の内容をどう評価していますか?


政府・与党の関係者の多くが、今の介護現場の厳しい状況を考慮してくれたと思っています。全体の改定率(+2.03%)や賃上げの規模も、これまでと比べると大きくなりました。国の施策は昨今のインフレ基調も踏まえた新たな局面に入った ーー 。そんな手応えを感じています。


もちろん、ありがたいと受け止めていますが…。足元の物価高騰や介護職員の他産業との給与格差を踏まえれば、まだまだ厳しい状況だと感じます。


国の調査結果によると、全産業平均の給与と介護職員の給与との格差は実に8.3万円(2024年)です。介護職員は極めて意義の大きな仕事を担っており、社会にとって絶対に欠かせない存在です。給与格差は一刻も早く解消すべきですが、このままではさらに拡大してしまうという危機感を持っています。


  −− 食費の基準費用額は1日100円の引き上げとなりました。これはどう評価していますか?


まだ物価高騰は続いており、改善の見通しは依然厳しい状況です。実際にかかる食費と基準費用額との乖離はもっと大きく、全国老施協の試算では、定員80人の特養で年間およそ1千万円もの赤字が生じる規模まで深刻化しています。


こうした状況の中で、高齢者の毎日の楽しみや生きがいになる食事が危機に瀕しています。


より安い食材に変えたり、おやつやイベント食を中止したりする施設が増えました。内容や見た目が貧相になるだけでなく、栄養面の懸念までも生じているのが現実です。


高齢者やご家族から「以前より物足りない」との声も寄せられるなか、約8割の施設の回答が「これ以上工夫の余地がない」。すでに限界ギリギリの状況だと強調させていただきたい。

第25回日本介護経営学会・学術大会レポート記事(スマートフォン用バナー)

◆「何より基本報酬の引き上げを」


  −− 2027年度の定期改定に向けてはどんなことを訴えていきますか?


処遇改善加算の拡充や食費の基準費用額の引き上げとあわせて、基本報酬の大幅な引き上げが不可欠だと主張していきます。施設の運営コスト全体が増加の一途をたどるなか、何より基本報酬をしっかりと引き上げなければ経営は成り立ちません。今の水準が続けば、行き詰まって閉鎖を余儀なくされる施設が全国的に一段と増えるでしょう。


高市政権は「強い経済」を掲げていますが、その実現に向けては働く方々の介護離職を防ぐ体制の整備が欠かせません。今の運営コストに見合った基本報酬を設定することにより、介護サービスの維持・強化を図るべきだと強く訴えていくつもりです。


  −− 全国老施協は以前から、現在の3年に1度という改定サイクルの見直しを提言されてきました。


これほどの物価高騰や賃上げが続く中で、報酬改定が3年に1度ではとても追いつかないことは明らかではないでしょうか。


介護保険制度がスタートして四半世紀が過ぎました。社会や経済の変化に合わせて、物価・賃金スライドの導入など臨機応変に対応できる仕組みへ変えるべき時期だと考えています。


どこまで実現できるかはまだ分かりませんが、こうした問題意識は業界内で、あるいは政府・与党内でも徐々に共有されてきていると感じます。今後も正論を粘り強くぶつけていこうと思います。

介護ニュースJoint 特集記事詳細はこちら

◆ 地域のセーフティネットを守る国の責任


  −− 物価高騰や人材難など、経営環境の厳しさはまだしばらく続きそうです。


そうですね…。地域によって状況は異なりますが、特養は施設を増やす時代から減少・縮小せざるを得ない時代に移ったのだと思います。


各法人は地域の個別事情や時間軸をしっかりと見極め、事業の存続や経営基盤の強化に向けた連携、協働、合併なども視野に入れて戦略を練らなければいけません。認識を切り替えて早め早めに動かないと、変化の波に乗り遅れてしまうでしょう。


国にはもっと手厚い支援、財源の投入をお願いしたい。子ども・子育て支援が重要なのは当然ですが、高齢者を支える環境の整備を軽視したり、後回しにしたりすることはあってはいけません。国が十分な財源を投じず、そのしわ寄せが介護現場にいくことも看過できません。


自然災害が起きた時のことも思い出していただきたい。いざという時に、避難所まで行けない地域の高齢者らを臨機応変に受け入れ、24時間体制で明かりを灯し続けたのは特養などの福祉施設でした。


社会福祉法人はその意義・目的が民間企業と異なります。地域の福祉の担い手、セーフティネットとしての役割を重んじ、国はしっかりと手厚い支援を行うべきだと強く求めていきます。


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