日本版DBSともいわれるこども性暴力防止法。障害福祉、特に障害児福祉の現場では影響が大きい。このため、こども家庭庁参事官の吉田昌司氏から法律が制定された背景や概要、障害福祉の現場への影響、事業者が準備すべきことなどについて寄稿していただいた。今回は連載企画の2回目!
■ 連載企画1回目の記事はこちら↓
【日本版DBS】こども性暴力防止法、児発や放デイなど障害福祉の現場も義務・施行に向けて準備を
文:こども家庭庁 支援局 参事官 こども性暴力防止担当 吉田昌司
今年12月25日に施行するこども性暴力防止法は、こどもに対する性暴力のない社会の実現に向けた取り組みを進める、重要な一歩です。
一方、主に教育・保育の現場に取り組みを求めるものであり、一定の事務負担があるところ。こども家庭庁としては、できるだけオンラインで手続きを完結させるなど工夫をしていますが、それを前提に、事業者の方々に手続き等の対応をしていただくこととなります。特に義務対象の事業者は、施行前の今のタイミングから準備を進めていただく必要があります。
事業者向けチェックリスト(こども性暴力防止法の施行までに必要な対応)
今回は、イギリスが先進的に取り組んできたDBS制度になぞらえて、「日本版DBS」と呼ばれている、再犯防止対策としての犯罪事実確認の内容とそれに関する手続き、事前にご準備いただきたい事項をご説明します。
◆ 犯罪事実確認
事業者は、こどもと接する業務の従事者について、雇入れや配置転換の際、過去の性犯罪歴の確認が必要となります。ここでいう性犯罪としては、不同意性交、盗撮、児童ポルノの所持、痴漢などが含まれます。小児に対する犯罪だけでなく、成人に対するものも含まれます。
確認の対象は、管理者、児童指導員など報酬算定の対象として法令上規定されている職員については、一律対象です。正職員だけでなく、アルバイトやパートも含みます。また、事務職員、送迎バスの運転手など、こどもと接するかどうか、現場ごとに異なる職種は、業務実態を踏まえて、事業者が判断します。

おおまかな流れは以下のとおりです。
1)事業者からこども家庭庁に、従事者の性犯罪歴のチェック依頼をしてもらう。
2)戸籍情報は従事者からこども家庭庁に対して提出してもらう。
3)こども家庭庁から法務省に確認をします。
4)法務省からこども家庭庁に回答がきます。
5)返答された結果を踏まえ、こども家庭庁から事業者に対して、性犯罪歴の有無(「ある」「なし」)を回答します。特に犯歴がある場合には、事業者への連絡の前に、まずは従事者本人に回答内容を通知。従事者は事実と異なる場合は、訂正の要求が可能です。その後、事業者に回答をします。
このような手続きを経て、万が一、性犯罪歴がある場合には、その従事者がこどもと接することがないようにする(防止措置)ことが求められます。

◆ 必要な対応
実際の確認等の手続きは、基本的には、法の施行(12月25日)後、専用システム(こまもろうシステム)を通じて行いますが、現時点から事業者には以下の対応をお願いします。
まず、従事者等への周知です。こどもへの性暴力をなくすために、まずは、こども性暴力防止法が施行されること、その中では従事者の方が、犯罪事実確認の対象となることについて、一人ひとりの方に理解していただくことが必要です。
特に、犯罪事実確認の中で、従事者には、従事者アカウントを作成し、戸籍を提出してもらう必要があるため、この点はあらかじめ丁寧な説明をお願いします。なお、基本的には戸籍はマイナンバーカードを活用して取得いただくことを想定しています。
次に、募集要項や就業規則の見直しなどです。内定者に犯罪事実確認を行い、性犯罪歴があることが分かった場合、性暴力のおそれがあるとの判断の下、内定取消しなどの対応(防止措置)をとる必要があります。
内定取消しが有効と認められるためには、採用過程で性犯罪歴がないことを書面等で確認したり、内定取消事由をあらかじめ明示すること等の事前の確認・対応が必要となります。このため、募集要項・求人票の参考例などもお示ししており、これも活用しながら適切な対応をお願いします。

募集要項・求人票参考例(Word/48KB)
誓約書・内定通知書参考例(Word/41KB)
就業規則参考例(Word/60KB)
最後に、犯罪事実確認を進めるためには、専用システムへ事業者情報の登録が必要です。指定放課後等デイサービスや児童発達支援などの義務対象事業者については、本システムのアカウント登録をこども家庭庁で一括で行うこととしており(まとめ登録)、事業者情報を所轄庁(都道府県等)に登録することが必要です。
例えば、都道府県がとりまとめ担当である障害児関係は、とりまとめ担当からこども家庭庁への提出期限を7月31日としていますので、事業者におかれてはそれ以前の定められた期限内の登録を必ずお願いします。
ここまで事業者に今から取り組んでいただきたい事項を整理してきました。一つひとつ動画などを確認しながら、取り組みを進めていただきたいと考えます。
次回は、性暴力を日ごろから防止するために事業者に準備いただきたい事項を説明していきたいと思います。





