【村上久美子】居宅介護支援の管理者要件、主任ケアマネ撤廃の先の課題 確かな前進のために問われること
来年度の介護報酬改定に向けた協議を進めている厚生労働省の審議会(社会保障審議会・介護給付費分科会)で、19日に居宅介護支援の具体策が取り上げられた。【村上久美子】
なかでも注目したいのは、事業所の管理者要件の見直しだ。厚労省は主任ケアマネジャーであることを求めず、新たに5年の実務経験などを有するケアマネジャーとすることを提案した。
主任ケアマネジャーであることを求める現行の管理者要件は、事業所内の人材育成を推進するために2018年度改定で導入された。
しかし、今回の審議会の資料では、主任ケアマネジャーが事務的な管理業務に時間を費やし、現場のケアマネジャーへの指導が十分にできていない状況が指摘されている。人材育成を進めるための資格要件が、必ずしもその充実に結び付いていないという問題である。
事業所の労務・財務管理などの管理業務と、ケアマネジャーへの指導・助言や地域の関係者との連絡調整を分担する方向には意義がある。資格を持つ人を管理者に置くことと、その人が専門性を発揮できることは別だからだ。
審議会の資料に示された調査結果でも、主任ケアマネジャーに期待される役割と実際に担う役割には差があり、ケアプラン点検やケースカンファレンスでの指導などで、その隔たりが見られる。
ただし、管理者の資格要件を外せば、指導する人と時間が自動的に確保されるわけではない。
とりわけ小規模な事業所では、管理業務と育成業務を分担する相手自体がいない場合もある。要件の見直しによって管理者の選択肢が広がっても、
▶ 誰が日常的な相談を受け、困難事例を一緒に検討し、職員の成長を支えるのか
が曖昧なままでは、人材育成の充実は期待しにくい。
私どもが今年4月に実施した「管理者の兼務に関する実態把握アンケート」によると、居宅介護支援事業所の回答では、業務が所定労働時間内に収まらないことや、スタッフの管理・指導に支障が出ていることなどがあげられた。「支障なし」と答えながら「土日にやる」と記した例もあることから、管理・指導が個人の時間外対応に支えられている可能性には目を向けたい。
必要なのは、事業所内の役割分担に加え、主任ケアマネジャーが事業所を横断して相談や指導に関われる体制ではないか。地域包括支援センターや他事業所との連携を通じ、小規模な事業所でも継続的に助言を受けられる仕組みが求められる。同時に、支援する側にも指導・助言の時間を確保し、その活動を適切に評価する必要がある。
今回問われているのは、管理者にどの資格を求めるかだけではない。何より大切なのは、
▶ 資格要件によって期待してきた育成機能を、今後どのように確保するか
である。管理者要件の見直しを、専門性を十分に発揮できる時間と体制の整備につなげてこそ、実効性のある改定となる。












