2023年12月20日

訪問介護事業者の倒産、過去最多に ヘルパー不足や競争激化で急増=東京商工リサーチ

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(画像はイメージ)

訪問介護の事業者の倒産が急増していることが明らかになった。【Joint編集部】

東京商工リサーチの新たな調査レポートによると、今年の倒産は12月15日までで60件。既に年間最多を更新した。


深刻なホームヘルパーの不足、他産業も含めた人材獲得競争の激化が大きな要因とみられる。物価高騰などがコスト増に拍車をかけるなか、十分な体制を構築できない事業者が追い込まれる優勝劣敗の構図だ。ヘルパーの高齢化が進んでおり、若返りに成功しているか否かもファクターの1つとみられる。

来年度の介護報酬改定では、一定の処遇改善や基本報酬の引き上げなどが期待される。ただ、それで深刻なヘルパー不足が直ちに解消へ向かうとは考えにくい。当面は目下の厳しい経営環境が続くとみられ、事業者の倒産、そこへ至る前の撤退・廃業が加速していく可能性がある。


これから懸念されるのは、地域のサービス提供体制が更に脆弱化してしまうことだ。


日本ホームヘルパー協会東京都支部の黒澤加代子会長は、「サービスを本当に必要な利用者へ届けられない状況が既に頻繁に生じている。無理を言って貴重な人材が辞めてしまわないよう、利用者の希望よりヘルパーの待遇を優先しがちな事業所も出てきている」と説明。「基本報酬の引き上げ、更なる処遇改善、土日祝日の手当などが不可欠だ。訪問介護の事業所を、そこで働くヘルパーをもっと大切にしてほしい。思い切って変えないと、今後の介護ニーズを受け止める体制は作れない」と訴えている。

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東京商工リサーチによると、今年に倒産した訪問介護の事業者の95.0%が資本金1千万円未満。職員が10人未満のところが83.3%で、小規模・零細が多くを占めている。


倒産の原因は80.0%が「販売不振」。利用者数や訪問回数の減少がトリガーとなったケースが目立つ。業歴10年以上の事業者が51.7%と半数を超えることも1つの特徴。東京商工リサーチは、ここにヘルパーの高齢化などが影響しているのではないかと分析している。


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