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2024年5月21日

【黒澤加代子】訪問介護に今年も厳しい夏が来る ヘルパーの救いは独自の推し活にあり!

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《 日本ホームヘルパー協会東京都支部・黒澤加代子会長 》

5月病のシーズンが到来しました。気温の変化が激しく、ヘルパーにとっては体調管理が難しいシーズンでもあります。


動いていると暑くなり、上着を脱げば寒くなる。皆さま是非お体にお気をつけ下さい。【黒澤加代子】

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気温が更に上がっていけば、熱中症や脱水が心配になります。これはご利用者のみならず、ヘルパー自身も気をつけなければいけません。


梅雨に入れば雨や湿気がひどく、脱いだり着たりを何度も繰り返すことになります。クーラーで冷蔵庫のように冷えているご利用者宅の後に、南国のように暑いご利用者宅を訪問したりすることもしばしば…。体が気温の変化についていけず、体調やメンタルのバランスが崩れやすくなります。


また、最近では早くも蚊が私たちを鋭く狙っており、身を守る鉄壁の防御策を講じなければいけません。


◆「カメレオン」の大変さ


訪問介護の仕事は、事業所のみならずご利用者宅も勤務地・現場となるため、何事もコントロールが難しい面があります。ヘルパーはカメレオンのように、変幻自在に環境に溶け込む能力さえも求められるわけです。


ですから、ストレスマネジメントやメンタルヘルス、心身の負担軽減はやはり非常に大切ではないでしょうか。「体調に気をつけてね」と声をかけるだけでは不十分です。サービス提供責任者はシフトに無理のないよう調整します。その際にはお天気、雨雲レーダーともにらめっこして、個々のヘルパーの特性も考慮しながら事業所をマネジメントしていきます。

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私はヘルパーのリフレッシュ方法に興味があり、日頃からよく話を聞くようにしています。その中で、ベテランのヘルパーさんであればあるほど、「推し活」が充実していることに気付きました。


訪問介護の仕事は「3Kの極み」とも言われる大変なものです。1人でご利用者宅に訪問するがゆえに、“気持ち切り替えスイッチ”のON/OFFをスムーズにする「メンタルヘルスケア力」が、仕事の質や継続力にも影響するのではないでしょうか。


◆ ちょっとの喜びを共有する尊さ


ヘルパーの推し活と言いましたが、世間一般で使われている意味合いとは少し異なるかもしれません。私は勝手に、なんでもいいので「自分のお気に入りを持っている状態」を「推し活」と呼んでいます。


「駅前の商店街のクリームパンが美味しい」「このアイスが美味しい」「角に新しいお弁当屋さんができた」「新商品が発売された」


地域を回っている中で、そんな風に楽しんでいることが「推し活」です。皆さんの周りにも、自分が「良い!」「推し!」と思ったことを共有してくれるヘルパーがいるのではないでしょうか。


私も訪問の途中で、「そういえば◯◯さんが言っていたな」とお店などに立ち寄ることがよくあります。もちろん、サボタージュではなく社会資源調査の1つという名目で…汗。そうすると必ず新しい発見があり、事業所内の話題作りにもつながります。


そもそも、訪問介護の担い手にはお昼ご飯を訪問の途中で割と自由に選択できるという特権があります。「食べ物推し」の話題には事欠きません。そんな時間が実は、“気持ち切り替えスイッチ”のON/OFFには必要なのだと考えています。


そして、それぞれの推し活を共有することに大きな意味があるのではないでしょうか。皆が参加できるコミュニケーションの1つとなるためで、職場の雰囲気を良くしたり情報連携を円滑にしたりすることにもつながります。弊社では、「お昼に何を食べるか」をテーマにミーティングを開くこともあります。

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また、「あそこのトイレがキレイで入りやすい」という「トイレの場所推し」も、訪問介護の“あるある”ではないでしょうか。私が尊敬する訪問看護師さんの事業所では、地域のトイレマップを作成・共有したほどだそうです。


もちろん、世間で言う推し活のように、好きなアーティストのライブへ行くために、スポーツを観戦するために、夢の国へ行くために、「ババ活(孫の面倒をみる)」のためにお休みをとることも大切です。夢中になれること、楽しいことならなんでもいい。そうした推し活が可能となる体制を作り上げることが、事業所にとっては非常に大切ではないでしょうか。


◆ 訪問介護のお仕事は「推しごと」


私の推し活はBリーグ観戦。推しの選手の活躍が楽しみで、一生懸命な姿を観ると「明日からまた頑張ろう」という活力も湧いてきます。今年はオリンピックもあるので今からとても楽しみです。


サッカー観戦も推し活の1つで、ワールドカップの日本戦の日はお休みを頂きました。フットサルチームのマネージャーも務めています。理解してくれる職場にはとても助けられてきました。


ご利用者の中には、私たちヘルパーの訪問を楽しみにして下さっている方もおられます。「あなたに会うと元気になるの」。私にもそう言って下さる方がいます。こちらが元気を頂いているのに、もはや感謝しかありません。


私にとって訪問介護のお仕事は「推しごと」です。この「訪問介護推し」が広く伝わるよう、皆さまに共有していけたらいいなと思います。誰かの「推しヘルパー」になれるよう、今後の厳しい季節を体調管理に気を付けて乗り切っていきましょう。


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